『ドキュメント 横浜vs.PL学園 』アサヒグラフ特別取材班
●今回の書評担当者●芳林堂書店高田馬場店 飯田和之
プロフィールの欄に趣味が無駄に多くと書かせて頂きましたが、スポーツ観戦全般も大好きなことの1つです。基本テレビ観戦ですが。
その中で特によく見るのは野球やサッカーです。プロですとひいきチームがありますのでなかなか純粋に競技観戦を楽しめないのですが高校野球となると、そんなこともないので野球そのものを楽しんでいます。
しかしながらそんななかでひいきチームが出来た時代がありました。今はメジャーリーグで怪我と戦う苦しいシーズンを送っていますが、平成の怪物と呼ばれた松坂大輔投手の所属した当時の横浜高校です。
そして今回紹介させて頂きますのは当時の伝説の試合を振り返った『ドキュメント 横浜VS PL学園』(朝日文庫)です。この試合は高校野球の名勝負のような雑誌には必ずと言って良いほど取り上げられる延長17回の激闘を選手や監督のインタビューを交えながら回を追って振り返った作品です。
1、2回。この試合は準々決勝なのですがそこまでの3試合計27回で1失点しかしていない松坂投手が3失点。どうしてこんなに打たれたのか? それを明らかにします。
3、4、5、6回。中盤に入り横浜高校は逆転するのですがそこで役立っていたのが小倉部長の緻密なデータです。ここではその人となりと共にデータの一部が公開されています。
7、8、9回。ここで試合は振り出しに。PL学園エースの上重投手がここで登場します。しかしながらアクシデントが発生して徐々にPL学園は追い詰められていきます。
10回。延長に突入。尻上がりに調子の上がる松坂投手は怪物の本来の力を見せ始めます。
11、12、13、14、15回。11回こそお互いに点を取り合ったものの試合は膠着状態。しかし横浜高校がチャンスを作るのに対してPL学園は抑えられる展開が続きます。
16回表。遂に横浜高校が1点勝ち越し。PL学園にとってはアンラッキーが続いてしまった失点でした。
16回裏。ここでまたPL学園が同点に追い付きます。
17回。ここで遂に決着です。
個人的にはリアルタイムでテレビ観戦していた試合でもあり録画もしていたのですが、途中でビデオテープが足りなくなり慌てて新しいのを持って来た程の3時間37分の激闘。この試合がきっかけとなり延長は15回までに短縮されました。将来ある選手たちを潰したくはない。その考えは良く解るのですがその一方でもうこうした試合は見られないのかと思うと一抹の寂しさを感じずにはいられません。
- 芳林堂書店高田馬場店 飯田和之
- 二浪の末ようやく大学に受かったものの結局一年で中退。その後は浪人時代に好きになった読書の為にメインで本を買わせて頂いた今の会社の津田沼店のアルバイトに応募。採用して頂き勤務。2011年11月より高田馬場店に異動になり現在に至ります。趣味が無駄に多く好きなものはトコトン突き詰める性格です。