『プロ野球で「エースで4番」は成功しないのか』小野俊哉
●今回の書評担当者●芳林堂書店高田馬場店 飯田和之
二刀流。
これを聞いた方々は何を思い描くだろうか。今や世間的にも浸透していると言って良いであろう2013年にプロ野球界を騒がせた大谷翔平選手の投手と野手掛け持ちによる二刀流を頭に浮かべる人が多いのではないでしょうか。
自分はふと何年も前に読んだ漫画『六三四の剣』の乾という剣士を思い出したりもしましたが......。
さて前置きはこれくらいにして本題に戻ります。冒頭で触れましたように今回は二刀流。取り上げさせて頂く作品はソフトバンク新書の『プロ野球で「エースで4番」は成功しないのか』です。
個人的にはまず二刀流にはあまり賛成ではありません。高校野球、大学野球、ノンプロ、色々ありますがそのところどころでの一流、超一流が集まるのがプロ野球。そしてその中でまた一流、超一流を決めていかないといけない。裏を返せばそこに到達出来ない選手もたくさんいる訳です。どんなに野手、投手オンリーの練習を積んでもそこに到達出来ない選手の方々が。そんな中でどちらでも一流、超一流になるのは至難の業と思われるからです。
何だか熱くなってしまいました、
すみません。
さてタイトル通りプロ野球の世界で二刀流として実績を残した選手を教えてくれるのがこの作品です。
昔は物理的に選手が少なかった事もあって二刀流の選手は結構いたようです。投手として登板し完投。そして翌日には野手として外野や内野を守る。
有名どころでは野口二郎さんや川上哲治さんでしょうか。昔は完投が当たり前だった時代ですので打席も回って来ます。その分ヒット数も増える。なかにはヒット500本とかホームラン50本を打っている投手もいました。
近年は投手の分業化が進んでいますので投手に打席が回るのも少なくなる。それに慣れていると投手でヒット500本なんて途方もない数字に見えます。
2013年は個人的にはあまり目立った活躍とまではいえなかったと思われる大谷翔平選手。投手と野手とでは単純に考えても倍の練習量。これを克服して歴史に名を残す選手になって欲しいと願うばかりです。
- 『ID野球の父 プロ野球に革命を起こした『尾張メモ』再発見』戸部良也 (2013年12月19日更新)
- 『打撃の神髄 榎本喜八伝』松井浩 (2013年11月21日更新)
- 『私の教え子ベストナイン』野村克也 (2013年10月17日更新)
- 芳林堂書店高田馬場店 飯田和之
- 二浪の末ようやく大学に受かったものの結局一年で中退。その後は浪人時代に好きになった読書の為にメインで本を買わせて頂いた今の会社の津田沼店のアルバイトに応募。採用して頂き勤務。2011年11月より高田馬場店に異動になり現在に至ります。趣味が無駄に多く好きなものはトコトン突き詰める性格です。