『プロ野球解説者を解説する』広尾晃
●今回の書評担当者●芳林堂書店高田馬場店 飯田和之
ものごころ着いた時からと言うとちょっと誇張が過ぎるかもしれませんが気が付いたら巨人ファンの父親の影響で自然と野球中継を見るようになっていました。
そこには当たり前のように実況のアナウンサーと共に引退された名選手が解説として存在していました。自分としては結果的に今の今まで野球を自分でやったことはないに等しくそんな訳で元プロ野球の選手が現在進行形のプレーを掘り下げて下さるのはとても勉強になりそれが今の自分の野球知識の何割かを形作っていると言えます。
解説者の方々にも色々なタイプがあり現役時代のチーム贔屓の方もいらっしゃればそんなことは関係なく純粋にプレーそのものを解説して下さる方もいらっしゃいます。
個人的には江本孟紀さんの解説が特に贔屓とかもなく野球そのものに対する解説で安定していて好きだったりします。
とても長い前置きになってしまいましたがそんな解説者の方々のことを書いた本が発売になりました。
その名もズバリ『プロ野球解説者を解説する』広尾晃著(イーストプレス)です。
こちらの本によれば初の野球放送は現在の高校野球にあたる当時の中等学校野球選手権大会。1927年のこと。初めて解説のようなことをしたのはそこで『総評』と言われる試合と試合の間に行われるものだったそうです。
プロ野球に話を戻して草創期における解説者では小西得郎さん、プロ野球ニュースのキャスターとしてもお馴染み佐々木信也さん、あとはただただ名選手の名前を羅列するだけのようなものになってしまいますが鶴岡一人さん、川上哲治さん、関根潤三さん、豊田泰光さんなどなど。
現在自分が普通に目にする中では江川卓さんは日本テレビのスポーツ番組を見ていると独特のコメントで引きつけられついつい聞き入ってしまい完全に術中にハマっている自分に気付かされます。
野村克也さんの始めた『ノムラスコープ』。ストライクゾーンを9つに分けて次に攻めるべきゾーンや配球を解説するものですが私はこれぞ解説だと思い食い入るように見たのを覚えています。予想する楽しみを奪うとのことで一部のファンには不評だったようですが。
個人的にはもっと古田敦也さんの解説を見たいです。そしてその解説を解説する野村克也さんの解説なんて見られたら本望ですね。
一方この本には『こんな解説者はいらない』というミニコラムもあります。確かにこんな解説者は......。と眉をひそめるタイプも出ています。
この本から自分の見やすい聞きやすい解説者の方を見付けて頂けたらと思います。
- 『楽天はなぜ強くなれたのか』野村克也 (2014年2月20日更新)
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- 芳林堂書店高田馬場店 飯田和之
- 二浪の末ようやく大学に受かったものの結局一年で中退。その後は浪人時代に好きになった読書の為にメインで本を買わせて頂いた今の会社の津田沼店のアルバイトに応募。採用して頂き勤務。2011年11月より高田馬場店に異動になり現在に至ります。趣味が無駄に多く好きなものはトコトン突き詰める性格です。