『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』ジェーン・スー
●今回の書評担当者●あおい書店可児店 前川琴美
この題名と相対してはや半年。読むのか、読まないのか、それは背後霊のように私につきまとい続けた。思えば書店で「40代女子、万歳」というコピーと共に創刊した雑誌「GLOW」を並べた女子ショックから早4年。「女子というワードが無限に拡張されよった、しかも言ったもん勝ちだと勝利宣言ビバ感漂わせとるがな!」あの衝撃は、帯状疱疹菌のごとく背骨の裏辺りにずうっと隠れていたのだ。これは年金が貰える年齢またしても先延ばし問題と同レベルのショックである。(いや、それは無関係だった)しつこい、何故成仏してくれぬ・・・読むよ、読めばいいんでしょ。この題名が気にならない体でやりすごし、スルー要項だと仕分けした私よ、さようなら。
半年経ってようやく脳内会議で女子問題にがっつり向き合うことが決定しました! しかし、この話題で上野千鶴子氏的ポジションからバッサリ切られるのはご免である。叱られたら、涙が出ちゃう、だって女の子なんだも・・・モゴモゴ。教えを乞うなら得体の知れない名前の人(さーせん)の方がまだまし。読んで、もう何度腹を抱えて笑い、涙したか! もー、もっと早く読めば良かったあ、テヘペロ☆(テヘペロの使用法がしっくりこない、それが女子)
著者、いや、あえて呼ぼう(会ったこともないが)友、ジェーン曰く「女は生涯、いち女子」じゃと。「女子とは、幼少から死ぬまで女の心に宿る嗜好性、指向性、志向性などのスピリッツ」。き、金言じゃ~! で、要は、女子の定義を更新するにあたり、図々しいとか不快とか思っている方々との不協和音をなくし、理解をすり合わせて、お互い力抜いてイージーゴー的な、ものすごくざっくり言うと、世界平和? ていうかお得感? を説いたバイブルがコレなのだ。(そうか?)義務教育で教科書に導入してほしい「小さな女の子救済作戦」はただ泣ける。これはもやっとした女子メンタルの問題を明らかにし、適切な自己肯定を促し、この先、明らかに女子とは言い難い外見でこの渡世を生き抜くための応援歌なのだ。
「さみしさや傷ついた気持ちをダイレクトに感じる存在」=「小さな女の子」が女子の心の中に住んでいて、その子を無視し続けると、その子が「小さな巨大な女の子」という矛盾した存在になり、身動きが取れなくなると。私も長年まさに巨神兵並み(溶けかけで、何かすごいものを吐きよる状態のアレ)の小さな女の子を心の中で飼い殺しており、間欠泉のように自己批判、自己憐憫、自虐自爆! 端から見たら更年期という言葉でくくれるけど、その言葉、女子、凹みますから。
女子という言葉が自由なように、ハートも自由にしてあげれば楽ですよ的エール大歓迎。自己甘フィルター掛けてますが何か? だって、死ぬまで女子ってジェーンが言うたもん、矢面に立ってそう言うてくれたもん。ジェーンよ、今夜もありがとう。小さな女の子の隣りに、ジェーン、お前を心の中に住まわせ、ガハハと笑いたい時には共に笑い、泣きたい時はピットインするぜ。友よ。これからもよろしく!
- 『死の島』福永武彦 (2015年1月8日更新)
- 『ラチとらいおん』マレーク・ベロニカ (2014年12月4日更新)
- 『皮膚感覚と人間のこころ』傳田 光洋 (2014年11月6日更新)
- あおい書店可児店 前川琴美
- 毎日ママチャリで絶唱しながら通勤。たまに虫が口に入り、吐き出す間もなく飲 み下す。テヘ。それはカルシウム、アンチエイジングのサプリ。グロスに付いた虫はワンポイントチャームですが、開店までに一応チェック! 身・だ・し・な・み。 文芸本を返品するのが辛くて児童書担当に変えてもらって5年。