『怒らない技術』嶋津良智
●今回の書評担当者●有隣堂川崎BE店 佐伯敦子
今、一番書店で売れている本! なんと、「怒らない技術」を教えている本です。この本が売れていることを知って、「世の中、怒っている人が多いのだなあ。」とつぶやいた人もいました。しかし、本当のところ、世の中の人達は、怒りたくないのだと思います。
なんだか、腹を立てると、後味が悪いというのか、あまりいい気持ちで一日が終わらないような気がします。怒って渋い顔をして、いらないシワまで増やすのなら、思いっきり笑っていたほうがいいと思います。「女の子は、どんな時も笑っていたほうが、幸せになれるわよ。」と教えてくれた親友のお母様の言葉を思い出します。
かくいう私もかなりの短気者でした。(でした。・・と過去形なのは、この本を読んで短気が無くなったわけではなく、それこそ、毎年毎年、新年の抱負に「つまらぬことで、腹を立てない。」を掲げ、早十数年。やっとの思いでここまでのんびりした性格になれたということです。)
で、確かにこの本、役に立ちます。イライラしない体質をつくるための"25の習慣"。もう少し早くにこの本に出会っていたら、私もひとかどの人間になれたかもしれません。
「短気は、損気。」とは、よく言ったもので、若い頃は、自分の意思を貫いているのだかなんだかよくわからなかったですが、意見をはっきり言ってゴリ押しするのが、どこかかっこよくて正しいと勘違いしていたような気がします。そうして、自信も何もないくせにきっと肩で風をきって歩いていたのでしょう。
振り返れば、その短気さで失ったものは、数知れず。人間関係であったり、仕事上での昇進であったり、とても大切なものだったり。
嶋津良智さんも、この本の中で「成功者の多くは、感情コントロールの達人である。」と語っています。そうなんですよ。きっと、人生の秘密は、ここにあるのかもしれません。
「怒らない」「落ち込まない」「他人のせいにしない」そう、決めるのは、いつも自分自身です。
本屋さんの店頭にいても、レジカウンターで感じるのは、イライラしているお客様がいかに多いかということです。レシートを投げ返す方、本にかけた輪ゴムにムカついて、「要らないわよ。」と怒りをぶつける方、ビニールの手提げ袋に入れようとすると、「なんで、紙の袋に入れないのよ。」と目くじらを立てる方。
みなさん、きっと何かにイラついてるのです。でも、自分ではどうすることもできなくて、仕方なく本屋の店頭で八つ当たりなさるのか?・・でも、ちょっとその前にこのピンク色の本を見つけたら、ぜひ手にとってみて、感情制御をしてみませんか?
泣いても、怒っても、笑っても、人生は一度限り。だったら、笑っていたほうが、きっといいに違いない! そう、思いませんか?
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- 有隣堂川崎BE店 佐伯敦子
- 江戸川乱歩の少年探偵団シリーズが大好きで、登下校中に歩き読みをしながら、電信 柱にガンガンぶつかっていた小学生は、大人になり、いつのまにか書店で仕事を見つけました。あれから二十年、売った本も、返品した本も数知れず。東野圭吾、小路幸也、朱川湊人、宮下奈都、大崎梢作品を愛し、有隣BE姉、客注係として日夜奮闘しています。まだまだ、知らないことばかり、読みたい本もたくさんあって、お客様から、版元様から、教えていただくことがいっぱいです。