『ほんまに 海文堂通信「海会」別冊』編集協力:海文堂書店/編集発行:シースペース

●今回の書評担当者●正文館書店本店 清水和子

『ほんまに 海文堂通信「海会」別冊』
編集協力:海文堂書店/編集発行:シースペース
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 グレゴリ青山の『グ印関西めぐり濃口』(メディアファクトリー)という本で2ページに渡って、神戸の海文堂書店さんが紹介されていました。それが妙に気になって、昨年神戸に行った際お店に寄りました。何と言うか、魂の隙間にバシコン!と入って来て、見る間に存在が膨れ上がっていく書店さんです。名古屋にいても、嗚呼行きたい嗚呼!と熱は冷める事なくまるで恋しているかの様です。お店は商店街の中にあり町の本屋さん、と言った佇まいですが品揃えが凄いんです!ここは船の書籍が豊富な所も有名ですが(グレゴリ青山は正にそこを紹介していました)私が著しく心を持っていかれたのは、やっぱり文芸・文庫・芸術・人文・郷土のコーナーでしょうか。こんなのもあんなのも置いてある~どうしよう欲しい~と興奮しっぱなしです。書店がどんどんスーパーの様にチェーン化していく、この恐ろしい昨今でポリシーが作裂している棚。魂が宿っています。本が愛されています!と思いました。そして行きたい行きたいと思い続け、今年も行ってきました。本当にわくわく・どきどきしました。何時間いたんだろう......。お店にいる間中、背中に羽が生えてぱたぱた浮かんでいる様でした。飢えていたんだなあ、自分。

 ここで本を買うと、袋の中に海文堂通信「海会」というチラシを入れてくれます。「海会」は内容が濃く、凄い凄いと読みましたが、「ほんまに」はその別冊で年2回の発行だそうです。今回は、「ほんまにvol.9」を購入しました。48ページ。中身は、東京堂書店さんに行ったり、名古屋では超有名人:城山三郎の神戸本、神戸ミステリー本、オックスフォードの書店員さん、古本屋さん、映画などとても面白いです。海文堂書店員のこの一冊、のページがあるのもたのしい。今回とても心にきたのは、神戸風月堂ミニゴーフルのイラストでお馴染、創作版画家:川西祐三郎さんへのインタビュー「父・川西英の想いで」です。このインタビューの空気感がとても心地よいのです。8歳より父に師事してきた息子。父(英)が息子(祐三郎)に早い動作の描写を伝授する所、お父さんとは何でもとてもたのしい毎日だったと語る所、何回読んでもじぃんとします。

 地元がすき、本がすき、と素直に言えるのはよい事なのだ~としみじみ思いました。お店のブログをいつもチェックしていますが、読む度にそう感じます。何か勇気が湧いてくる。ぬおーんと体の中心から力が出てくる様な気がする。本は単なる売り買いするだけのモノじゃない、と思えてくるのです。

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正文館書店本店 清水和子
正文館書店本店 清水和子
名古屋の正文館書店勤務。文芸書担当。名古屋は良い所です。赤味噌を笑うものは赤味噌に泣くぞ!と思います。本は究極の媒体だ〜。他の書店に行くのも図書館に行くのもすき。色々な本がすきです。出勤前にうっかり読んでしまい遅刻しそうになり、凄い形相で支度してることもしばしば。すぐ舞い上がってしまうたちです。(特に文学賞発表のときなど)すきな作家の本の発売日は、♪丘を越え行こうよ〜の歌が頭の中でエンドレスに流れてます。誕生日占いが「落ち着きのないサル」だったので、心を静めてがんばりたいです。