『かつて誰も調べなかった100の謎』堀井憲一郎
●今回の書評担当者●三省堂書店営業本部 内田剛
さて泣く子も黙る「ホリイのずんずん調査」である。個人的にも「週刊ベースボール」と並んで敬愛する週刊誌「週刊文春」の人気連載といえばコレだった。強力な連載陣の中でも異彩を放っており喫茶店やコンビニで毎週欠かさずチェックしていた。(この連載を読むために買ったことも。)本書はそのベスト100を集めた総集編的内容となっている。今年の8月に刊行されたこの超・面白本が3か月後の書店で探せるか、を私的にずんずん調査してみた。ルールはわざわざ調査のためだけに書店に行かないこと(ついでのルート上にあること)と本の所在地を店員に聞かないこと。あくまで自力でアタック。書店名はとても差し支えあるのでイニシャルに。もしかしたら探せなかっただけかもしれないので、どうか書店を責めないように願います。
11月某日(土曜日)曇り、やや風強し
スタートは箱根駅伝をさり気なく意識して大手町から。都営線の駅改札正面の本屋に在庫なし。ちょっぴり期待していたビジネス街のK書店は定休で肩を落とす。〇善〇の内本店はさすがの品揃え。サブカルコーナーに平積み5冊。充分だ。しかし良き流れは続かず、東京駅のS書店にも地下街の古書店にもなし。そのまま大型のYB書店に繰り出すが残念ながらなし。検索機には「ただいま在庫切れ」の表示だが、なんとなくあった形跡なし。サブカルコーナー自体がないんだなぁ。日本橋三越新館のYB書店もなし。駅地下のTR書店にもサブカルジャンルなしでダメかと思いきや新刊台に3冊あり、ホッとする。本書を挟んで左隣には『死ぬのにいくらかかるのか』で右隣は『即答力』。つまり疑問→調査→回答と並んでいて、ひとり納得。調査終了。
・成果 7店舗中2店舗 合計8冊 下町の冷たい風が身に染みる...早く休もう
11月某日(日曜日)晴れ時々曇り、やや肌寒い
調査二日目。昨日の不調で気合がいまひとつ。近所の小さな地元書店(兄弟2店舗)を覗くがやはりなし。一気に移動し新宿西口のドーモ学園ビルにあるB書店。行きつけの店だ。ありました。サブカルに面陳2冊。幸先がいい。地下道を通って東口方面に向かう。スタンド売店のようなY書店を通りかかると、なんと見慣れた表紙が!ありました。まさかの驚きで思わず小走りに棚に駆け寄る。2冊の面陳。なんか上げ底になっていたのでチェックすると下には『消えたマンガ家』が隠されていた。これは何かの暗号か?勇気を得てK書店東口店に行くと2階で大収穫。元棚であるサブカルのアネックス台にきっちり4冊平積み。2列目だが、これは十分な展開だ。さらには新刊話題書の棚にも4冊平積み。それも業界人必読の『重版出来(2)』と『アル中病棟(失踪日記2)』に挟まれたゴールデンライン。人気作の続編の真ん中なんて『ずんずん調査』のパート2が出る日も近いと確信。弾みをつけて南口店へ。こちらもフィーバー状態。4階サブカル元棚に3冊面陳。3階のメインレジ前の話題書コーナーにはなんと3面で9冊も。絶好調だ。心の中でそっと「いいね」ボタンを押してみた(内緒)。最初からここに来ればよかった。しかし、今夜はよく眠れそう。
・成果 6店舗中4店舗 合計24冊 新宿は冷えた体を温める街だ...今宵は晩酌
以上、読書の秋の二日間。現場からのレポートでした。次回はスタジオからの予定。
(注)言わずもがなですが、本編の調査はもっと綿密です。ただただ恐縮。
- 『うまい棒大百科』うまい棒同盟 (2013年10月24日更新)
- 『ローカル線で地域を元気にする方法』鳥塚亮 (2013年9月26日更新)
- 『いくつ分かる? 名作のイントロ』中江有里 (2013年8月22日更新)
- 三省堂書店営業本部 内田剛
- うお座のA型で酉年。書店員歴うっかり23年。 沈黙と平和をこよなく愛する自称〝アルパカ書店員〟 不本意ながらここ最近、腰痛のリハビリにはまっています。 優柔不断のくせに城や野球など白黒つくものが好き。 けっこう面倒な性格かもしれませんが何卒よろしく。