『白雪姫には死んでもらう』ネレ・ノイハウス
●今回の書評担当者●サクラ書店平塚ラスカ店 柳下博幸
新刊出しの時に「おっ」っと気になった1冊を紹介します。
~~2008年11月 ドイツの小さな村で人骨が発見された。人骨は11年前に起こった連続少女殺害事件の被害者のものだった。死体が見つからないまま10年の刑を受けたのは、同じ村に住む男トビアス・ザルトリウスだった。彼は冤罪を主張していたが状況証拠や周りの友人、近所の住民の証言はすべて彼の不利になるものばかりだった為、彼は無念のまま刑に服した~~
まったく読まないわけではないのですが、正直外国文学は苦手です。ストーリーに入り込む前に登場人物が複雑だと覚えきれない......その上、愛称であったり俗称が何の説明もなく出てくるのに困惑してしまう。
トビアス・ザルトリウスという名前をようやく覚えた頃に「トビー!」と書いてあっても2ページくらい読み過ぎてから「トビーってトビアス・ザルトリウスの事か!」と何度もページを最初に戻してしまう。
本当に外文が好きな方からすれば「何を言ってんだ?」と鼻で笑うのでしょう。
でも切実なんです。
「だったら読まなきゃいいだろ?」
そうはいかない!
『白雪姫には死んでもらう』
こんなキャッチーなタイトル読むしかないじゃないですか!
外文を好きな方だけに届けるのでは読者層は広がらない! でもライトな層を取り込めればそこにはホラ! アフリカで靴も売れるし、アラスカで氷も売れる! 本屋で本が売れるんですよ!......アレ?
~~村に戻った彼を待っていたのは殺された被害者家族を含んだ彼に不利な証言をした村人達の隠すことのないむき出しの悪意だった。「俺は、本当は彼女たちを殺してしまったのだろうか?」トビアスは真実を求め動き出す。彼の無実を信じるのは幼馴染のナターリエと実母から厄介払いされてやって来た不正に敏感な少女アメリー。「あなたがふたりの少女を殺したなんて信じられないってこと」
捜査に当たる刑事オリヴァー&ピアも当時の資料を見て疑問を感じる。「トビアスは本当に少女を殺したのか?」小さな村で起こった連続殺人事件の真相はどこにある~~
個人的な意見ですが外文の世界に入り込むにはベタなキャラ付けがいいんじゃないかと思いました。
トビアス・ザルトリアスはブラット・ピット!みたいにね。少女アメリーはナタリー・ポートマン! レオンの頃の! 的なね。※あくまでも個人の意見です。そして若干古いです。
そもそもこの作品は「刑事オリヴァー&ピア」シリーズの4作目にあたります。
「4作目? シリーズ物なのに最初から読まなくて大丈夫なの?」
これが大丈夫なんです!
なぜなら......1作目2作目はまだ翻訳されていませんから!
- 『カワイイ地獄』ヒキタクニオ (2013年6月13日更新)
- 『一路』浅田次郎 (2013年5月16日更新)
- サクラ書店平塚ラスカ店 柳下博幸
- 1967年秋田生まれ。嫁と猫5匹を背負い日々闘い続けるローン・レンジャー。文具から雑貨、CDにレンタルと異業態を歴任し、現在に至る。好きなジャンルは時代物(佐幕派)だが、CD屋時代に学んだ 「売れてるモノはイイもの」の感覚は忘れないようにノンジャンルで読んでいます。コロンビアサッカーとオルタナティブロック愛好家。特技・紐斬り。