第4回 お茶のあゆんできたみち・地理編

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 お茶の歩んで来た道歴史編に続いては、地理編。と言っても大丈夫です、世界地図がさっぱり頭の中に入っていない私でもわかる、ざっくりあっさりな感じで参ります。
 お茶は、気候が温和で、雨も多い地域が好き。亜熱帯から熱帯を好む植物です。亜熱帯って言うと、ハワイとか常夏な感じ、熱帯って言うとアマゾンみたいな蒸し蒸し灼熱な感じ。でも意外と、アメリカのカリフォルニアやフロリダ、香港、広州が亜熱帯だったり。東京の南鳥島や硫黄島が熱帯だったり。東京からすっごい離れてはいますが、東京都(の一部)が熱帯だったとは(最近は、もはや東京も熱帯っぽいけど)。
 この熱帯亜熱帯、赤道を中心としたティーベルト、というものがあって、だいたい北緯45度以~南緯35度の間。世界地図で見ていると、これって相当範囲が広くて、ロシアとか北極南極が省かれるくらい。世界50カ国で栽培されていると言われています。
 その中でも最大はやっぱりアジア圏、実に89%のシェア。続くアフリカの9%、最近は徐々に増えてきているそうです。そして南米の2%。
 垂直で言うと、下は数10m~100m、上は2600mがだいたい上限。台湾の高山茶の定義は1000メートル以上の高知で育てられたお茶。阿里山、梨山、大禹嶺。
 だいたいここらへんならお茶の樹は育つものの、やっぱり良いお茶にはもう少し環境的な要因が必要です。
 気候が温暖で、空気が綺麗なこと。
 湿度が十分なこと。
 そして太陽が当たり過ぎないこと。日の光は植物的には良いのですが、お茶的には葉の中のカテキンが増えてしまって苦味のあるお茶になってしまうんです。なので、霧が多い地域が最適。柔らかく、繊維の細かい繊細な茶葉が育ちます。元気良く野山を駆け回るおてんばさんよりは、レースのカーテン越しに午後の日差しを浴びる深窓の令嬢なイメージ。
 一日の寒暖差が大きいと、香りの良いお茶が育ちます。
 インドや中国、台湾のお茶畑の写真を見ていると、霧立ち込める深山、とても機械が入れないような山の斜面にびっしりと茶樹が。中には、周囲の雑木と見分けがつかないくらいワイルドな茶樹が植わっている畑もあって、静岡とかの綺麗に剪定された茶樹が規則正しく並んでいる風景とはまた違う趣が。
 お茶のため、を考えると、不便ではあっても、水はけがよく、霧越しの光が柔らかく差し込む、そして昼夜の寒暖差の大きい山の斜面が最適なのです。柔らかい新芽のみを詰む作業は、どのみち機械には任せられませんしね。
 いっぱいのお茶の中にこめられた、空気と光と水、そしてたくさんの人の手間と思い。お茶を飲むときに、少しだけ思い出してみると、よりお茶の味が深く深く感じられるかも。