第12回 中国紅茶いろいろ・その2
*滇紅(ディエンホン)紅茶
滇紅紅茶は雲南省が産地の紅茶。滇は、雲南省の古い呼び方なんですって。
明るい金色の茶葉は、ふんわりぷっくり。産毛が多い若い芽だからこそ。旨味の多いこっくりした味わい、中国紅茶らしい華やかな香り。
しっかりとしたボディがあり、癖はなくて飲みやすいけれど、記憶に残る紅茶だと思います。ミルクティーにしても、アイスティーにしても美味しい、優等生。
*金駿眉(チンチュンメイ)
一時期の金駿眉ブームはなんだったんでしょう......あれよあれよと言う間に値段が釣り上がり、とても手が出せなくなってしまいました。今は落ち着いているので、美味しい金瞬眉がそれなりに価格で買えます。といっても、もともと割とお高い紅茶なんですが。
金は、色。駿は優れていること。眉はその形から。名は体を表す紅茶です。
前回の正山小種をルーツに持つ紅茶で、中国紅茶の中でも最高級品。これまた本当に最高級品は巷間には出回りません。小種の芽のみを使い、その数は5万~8万とも。手作業で丁寧に仕上げられる揉捻、お値段高くなっちゃうのも仕方ないのかなぁ。
果実や蜜の香り、甘いこっくりとした味わいが、煎を重ねても続きます。何煎もいれて、ほぐれにほぐれた茶殻の繊細で美しいこと(わたくし、茶殻フェチなのです)。
この貴族的な紅茶に出会ったら、相応のお茶菓子を用意して、おもてなししましょ。
*蜜香(ミーシャン)紅茶
世界的に知られている名優茶、でこそありませんが、池澤家では最多出番数を誇ります。
台湾のお茶問屋さんから、いつもごそっと買ってくるのです。
台湾には、東方美人という素晴らしい青茶があります。詳しくは青茶の時に説明しますが、この東方美人はウンカという小さな虫に噛まれた茶葉を使うことで、素晴らしい芳香を放つお茶になるのです。そのウンカが噛んだ茶葉を紅茶として仕立てたのが、この蜜香紅茶。
口に含むとその名の通り甘やかな蜜の香り、どっしりした心地よい渋みに続いて後口の甘さが。しっかりバターを使った焼き菓子や粒餡の豆大福、もちろん月餅にも抜群に合います。
台湾に旅行に行った際は、烏龍茶もいいですが、ぜひこの蜜香紅茶を探してみてください。