第13回 次は白茶と黄茶のお話
日本人には一番馴染みがあるだろう緑茶の説明が終わったところで、次は一番マイナーな黄茶と白茶のお話。
紅茶、緑茶はともかく。青茶は烏龍茶のこと、黒茶は普洱茶のこと、と言われたら、まぁわかるはず。でも、黄茶と白茶は一歩も二歩も下がって知る人ぞ知る、なのです。
黄茶は中国特産、中国以外では作られないお茶。
茶葉の色、水色、ともに黄色がかっています。種類もあまり多くなく、黄小茶と黄大茶、くらい(黄芽茶もあるのですが、これは黄小茶に含まれちゃうことが多いので)。
黄小茶は君山銀針など。
黄大茶は霍山黄大茶くらい。とても珍しいお茶です。
黄茶の特徴は、悶黄という熟成工程を経ること。悶える黄色です......ごくり。中国語では「悶」は、うっとおしい、蒸し暑い、という意味。うっとおしい発酵、ではもちろんなく、高い湿度で発酵を進めることで、茶葉の色が緑から黄色に変化します。
一番生産量が少ないので珍重され、なかなかのお値段。100g一万円を超えるものも珍しくない、そうです(......でも、年代物普洱茶とか、コンテスト茶とかに比べれば、まだお値段しない方かもしれない)。
続いて白茶。
白茶はなぜか欧米でとても愛されていて、アメリカで有名なハーブティーのメーカー、セレッシャルからもホワイトティー、デカフェのホワイトティー、プラム&ホワイトティー、洋梨&ホワイトティーなんかがあるほど(余談ですが、アメリカではなぜか今、Kombuchaブーム。100%オーガニック生コンブチャ、怖いもの飲みたさで試してみましたが、酸っぱくて甘くて炭酸で、頭と味覚が大パニックでした。でもこれ、本当は昆布茶じゃなくて、紅茶きのこ的な何か、らしい。名前はまぎらわしく、味はおどろおどろしい飲み物でした)。
主に福建省で生産され、台湾でも少し。
茶葉の色、水色、ともに白(あくまで他と比較して、ですが)。
品種もずばっと3種類のみ。
高級な方から、芽だけを使う針のような銀針、芽と葉を使う白牡丹、葉だけをつかう寿眉。
白豪銀針を摘む時には「十不採」という決まりもあるそうです。曰く、1:雨の時は摘まない、2:露で濡れてる時は摘まない、3:小さくて痩せてる芽は摘まない、4:紫色になってる(傷んでる?)芽は摘まない、5:風で傷ついた芽は摘まない、6:人が触って傷んだ芽は摘まない、7:虫が噛んで傷んだ芽は摘まない、8:開いた葉は摘まない、9:芯の入っていない芽は摘まない、10:病気の芽は摘まない。中には当たり前では?と思う項目もありますが、それだけ厳格にクオリティを守っている、ということ。
萎凋は最も長く、50時間にもおよびます。萎凋室の窓を開け、そよそよと優しく優しく風に当て。というのも、白茶の茶葉は産毛を多く含むので、揉捻したりするとそれが全部取れちゃうのです。なので、炒らない、揉まない。この萎凋で8~9割の水分を飛ばします。月の光のように繊細なお茶です。