第2回 ソウルでブックオフなのだ
年に一、二度は定食調査のために近場の海外に出かける(いずれまとめます)。もっとも、普段ほったらかしにしている家族のための罪ほろぼし旅行もかねているわけだが。ということで、2012年春にソウルへ行った。
さて、滞在の後半に近づいたころ、私は明洞で家族と買い物をしていた。買い物中、私はブックオフのことを考えていた。実はソウルの新村(シンチョン)にブックオフができたことを、去年の訪問時に知っていたので、今回は是非とも訪れたかったのだ。
家族の買い物は続いていたが、私もなんとか目標を達成したかったので、事情を話して2時間だけ猶予をもらい、単独でブックに行くこととした。ここからだと地下鉄の2号線に乗って、5駅ほどだ。
かくして、不機嫌になりつつある家族を残して乙支路入口の駅まで歩き、地下鉄に乗る。ソウルの地下鉄は、感動的なまでにシンプルに乗りこなすことができる。さらに切符の販売機も日本語表記が出るので素晴らしいですね。かくして、目的の新村に。ここは延世大学のある学生街でもあり、定食的にもとても興味のある街なのだが、時間がないので、とりあえず5番出口を探す。5番出口というのは去年来たときに、地下鉄の駅に貼ってあった広告で情報を得ていたのだ。
記憶のとおりに、5番出口にいくと、ここにもブックの案内の広告があったよ! かくして5番出口から地上に出る。デパートなどもあり大きな街だなこりゃ。しばらく歩くと......ブックがあった!
日本とあまり変わらない外観だ。店内に入ると「いらっしゃいませ、オソオセヨ~」と日韓併記で言われちゃったよ(笑)。店内にはハングルの本もあるが、日本語の本もあり、本の並びは日本と似ている。日本での文庫本の100均は、ここでは2000W(ウォン)均(新書も)。ただしマンガは1000W。
とりあえず、マンガもハングルのを記念に買おうと思い、日本の熊倉隆敏『もっけ(勿怪)』の1巻の韓国版を一冊1000Wで。続けて文庫でも買おうかと思って物色すると、つげ義春『無能の人・日の戯れ』新潮文庫版があった。旅行にきているのに、家族をほったらかしてブックにきている今の自分となんだか共通している気がしたので、これも2000Wで。つげ先生も旅行が好きだが、家族でションボリしているところがとてもいいんだよね。
そんなことを思いつつDVDコーナーにくると、なぜかアバのDVDが4400Wで、リージョンフリーだったので、これも買おう。あわせて7400W。日本円で500~600円というところか。
レジで会計をすると、お姉さんが「DVDが見られなかったら、一週間以内にもってきてください」と「日本語」で言ったのでぶったまげた。びっくりついでにお姉さんに聞くとハングル本だけのブックオフが郊外にもう一軒あるそうだ。へええ。ということは、この新村店では意識して日本の本を売っているわけで、まあ日本のマンガや文庫を求めてくる韓国の人や、在韓の日本人のための店という側面もあるのだろうなと納得。
かくして、店を後にして地下鉄の方向に向かうと、駅のそばでホカホカと湯気の出ている店があった! なんと饅頭(マントウ)の店だ!
これは間違いなくおいしいだろうと、おばさんに「オルマイヨ」と値段を聞くと、2000W。お金をはらうと、蒸かし直してくれて、テイクアウトの入れ物にいれてくれる。これ、家族のお土産にしようかと思ったが、たまらず、地下鉄の階段のところで一個取り出して食べるとほかほかのアンマンで実においしい。......うーん、同じようなシチュエーションが確か札幌でもあったような気がするな。私は世界のどこに行っても同じようなことをしているなと思いつつ、階段をくだったのであった。