5月30日(金) SFマガジン

SFマガジン700【国内篇】 (創刊700号記念アンソロジー)
『SFマガジン700【国内篇】 (創刊700号記念アンソロジー)』
早川書房
1,210円(税込)
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SFマガジン700【海外篇】 (ハヤカワ文庫 SF エ 6-1)
『SFマガジン700【海外篇】 (ハヤカワ文庫 SF エ 6-1)』
早川書房
1,145円(税込)
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ミステリマガジン700 【国内篇】 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
『ミステリマガジン700 【国内篇】 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』
早川書房
1,231円(税込)
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ミステリマガジン700 【海外篇】 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
『ミステリマガジン700 【海外篇】 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』
早川書房
1,145円(税込)
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 SFマガジン700号を記念してアンソロジーが2冊刊行された。『SFマガジン700〔国内篇〕』と、『SFマガジン700〔海外篇〕』(どちらもハヤカワSF文庫)。前者が大森望編で、後者が山岸真編。その国内編を開いたら、筒井康隆「上下左右」が載っていたのだ。懐かしい。

「四階建てアパートの全二十室で営まれている生活と事件を見開き二十マスに収め、同時進行で描くSFコメディ」である。SFマガジンを見て、にやにやしながら読んだ記憶がある。初出はSFマガジンの1977年7月号。そうか、あれを読んだのは本の雑誌創刊の翌年だったのか。

 しばらく感慨にふけっていたら、待てよと思い返した。SFマガジンを愛読していた私がSFから足を洗ったきっかけは、あのニューウェーブ騒動だった、という話はこれまでに何度か書いてきた。いや、書いたことはないか。どこかの対談で話しただけかも。

 少しだけ説明しておくと、ずいぶん昔、海外のSFが「新しい波」としてSFマガジンで紹介されたのである。ところがこれが難解で、まったく理解できない。SFがこんなに難解になったのなら、もうおれは無理だとSFを読むのをやめてしまったのである。そのきっかけがSFマガジンに載ったニューウェーブ作品だった。そのときにやめなかった椎名誠はその後もずっとSF読者であり続けたが、私はそれ以来SFに復帰できないでいる。

 ところが、そのSFマガジンに載ったニューウェーブ特集は、1969年10月号であると、つい最近どこかの原稿に私は書いたばかりなのだ。「上下左右」を懐かしく読んでから、それを突然思い出した。ちょっと待ってくれ。1969年10月号で、SFから遠ざかったはずなのに、その8年後の1977年7月号を私は読んでいる! まったく遠ざかっ
たわけではなかったのか。そういえば、若いころに足で集めたSFマガジンのバックナンバーをまとめて古書店に売ったのは1981年か1982年なので、それまでは読んでいたのかも。いや、それだけの話なんですが。

 その国内編の編者解説を読んでいたら、『伊藤典夫SF評論集』が最初の告知から28年たってもまだ出ていないという。28年! いまはSFを離れたとはいえ、この人のコラムを読みたくてSFマガジンを買っていた私としては、それを読むまでは死にきれない。鏡明『アメリカの夢の機械』と、『伊藤典夫SF評論集』、この2冊が出てくるまでは頑張って生きていよう。ところでこの2冊のアンソロジーと同時発売のSFマガジン700号では、評論・エッセイ・インタビュー・座談会などの再録特集が組まれているというから、これも愉しみだ。

 そうか。新刊の山に埋もれて出てこないが、ミステリマガジンも先に700号を迎えていて、『ミステリマガジン700〔国内篇〕』(日下三蔵編)と、『ミステリマガジン700〔海外篇〕』(杉江松恋編)というアンソロジーが同じようにハヤカワ文庫から出ていたことを思い出した。この2冊の編者解説を突然読みたくなったが(この二人なら面白いだろう)、いくら掘り起こしても出てこない。

『SFマガジン700〔海外編〕』にも一言。昔のSFマガジンでいちばん印象に残っているのは、ブラッドベリの「霜と炎」で、7日間しか生きられない星の話は強烈だった。あとは、ある星に到着して歩いていたら、そこは道路が整備されていて、車のタイヤみたいなものがずんずん走ってくる、という短編をなぜか覚えている。それでどうなったのかも、作者名も忘れてしまったが、おお、タイトルも出てこない!