第14回
ゴールデンウイーク進行ということもあって、早め早めで担当コーナーを進めていた6月号発売日(4/25)の直後、編集部にある事件が起きる。
午後2時前後だった。編集部のドアが乱暴に開かれたかと思うと
「おい!! 堀川ってのはどいつだ!!」
相当怒りまくっていると思える怒鳴り声。声のした方向を見ると茶色の革のウエスタンハットに同色のジャケットとパンツ(もちろん、細い紐がたくさんついたウエスタン調)に身を包み、グラデーションのなすび型のサングラスを着けたパンチパーマの男が立っていた。これで、星型のバッチにガンベルトでも締めていたら、保安官でも来たのか? と勘違いするような格好だ(アメリカじゃないんだから、もちろんそんなことはない)。誰が教えたのわからないが、不運にもデスクにいた堀川編集長の方へ歩きながら、どなり散らす内容で、男の来訪した理由がわかった。
「ほぉ~りか~わよう! お前のせいで女のコ、辞めちまったよ。 ××で顔が載せられないって、どういうことだよ~。おまえなぁ~、脱いでくれる女のコを見つけてくんのがどんだけ大変か判ってんのかぁ~!!」
不本意だったオレのヌード撮影初体験、「業界ちゃん物語」へのクレームだ。不本意だったのは、モデルが××だからと書いたが、実際のページでも、モデルの顔部分はイラストを乗せ、ご丁寧にも「あんまり○△なので顔がだせなかった。」と描き文字を入れ、その下に「あー情けない」という台詞付の泣いている女のコのイラスト入り。
(やっぱり、誰が見ても××だよな)
雑誌が出来上がった時にそのページを見て、その処理は当然とオレも思ったのだが、よくよく考えれば描き文字とイラストは、やりすぎだ。シャレにしてもキツすぎる。
「まあまあ、下の喫茶室で話しましょう」
といさめる編集長。いくぶん、声が震えを帯びている(ように聞こえた)。
「いいか!! 一人辞めちまったんだから、お前が一人、探してこいよ。そうすりゃあ、どんだけ大変なのか、お前にも判んだろ!!」
編集長の話を聞いているのか、いないのか男はどなり散らすのを辞めない。いさめ続ける編集長。それがどうにかこうにか功を奏し、編集長と男は連れ立って、喫茶室に向かった。そのあと、どんなやり取りがなされたのかは不明だか、最初の男の勢いからするとなんてことはない結果に落ち着いたようだ。20数年前のやり取りをこれだけ鮮明に記憶しているほど、その時のオレはビビっていた。そして、
『どんなにモデルが××でも、それが例え企画ページであっても、絶対にイラストで顔をつぶしたりしない』
オレは、心の中の「編集者の掟」ノートにこの一文を朱書きで書き込んだ。
午後2時前後だった。編集部のドアが乱暴に開かれたかと思うと
「おい!! 堀川ってのはどいつだ!!」
相当怒りまくっていると思える怒鳴り声。声のした方向を見ると茶色の革のウエスタンハットに同色のジャケットとパンツ(もちろん、細い紐がたくさんついたウエスタン調)に身を包み、グラデーションのなすび型のサングラスを着けたパンチパーマの男が立っていた。これで、星型のバッチにガンベルトでも締めていたら、保安官でも来たのか? と勘違いするような格好だ(アメリカじゃないんだから、もちろんそんなことはない)。誰が教えたのわからないが、不運にもデスクにいた堀川編集長の方へ歩きながら、どなり散らす内容で、男の来訪した理由がわかった。
「ほぉ~りか~わよう! お前のせいで女のコ、辞めちまったよ。 ××で顔が載せられないって、どういうことだよ~。おまえなぁ~、脱いでくれる女のコを見つけてくんのがどんだけ大変か判ってんのかぁ~!!」
不本意だったオレのヌード撮影初体験、「業界ちゃん物語」へのクレームだ。不本意だったのは、モデルが××だからと書いたが、実際のページでも、モデルの顔部分はイラストを乗せ、ご丁寧にも「あんまり○△なので顔がだせなかった。」と描き文字を入れ、その下に「あー情けない」という台詞付の泣いている女のコのイラスト入り。
(やっぱり、誰が見ても××だよな)
雑誌が出来上がった時にそのページを見て、その処理は当然とオレも思ったのだが、よくよく考えれば描き文字とイラストは、やりすぎだ。シャレにしてもキツすぎる。
「まあまあ、下の喫茶室で話しましょう」
といさめる編集長。いくぶん、声が震えを帯びている(ように聞こえた)。
「いいか!! 一人辞めちまったんだから、お前が一人、探してこいよ。そうすりゃあ、どんだけ大変なのか、お前にも判んだろ!!」
編集長の話を聞いているのか、いないのか男はどなり散らすのを辞めない。いさめ続ける編集長。それがどうにかこうにか功を奏し、編集長と男は連れ立って、喫茶室に向かった。そのあと、どんなやり取りがなされたのかは不明だか、最初の男の勢いからするとなんてことはない結果に落ち着いたようだ。20数年前のやり取りをこれだけ鮮明に記憶しているほど、その時のオレはビビっていた。そして、
『どんなにモデルが××でも、それが例え企画ページであっても、絶対にイラストで顔をつぶしたりしない』
オレは、心の中の「編集者の掟」ノートにこの一文を朱書きで書き込んだ。