第68回
'87年10月号/表紙・水野富貴子/グラビア・長野知夏/アイシミュ・白田あゆみ/IDOL SCRAMBLE・志賀真理子・湊広子・山崎真由美
創刊3周年に当たる10月号の特集は、発売日の一週間後に解散するおニャン子クラブだった。前述のように5月号で特集していて、それから半年も経っていない。これは5月号が発売されて約2ヵ月後の6月におニャン子クラブの解散が発表されたためだ。5月号でかなりリキを入れてしまったので、編集長に5月号を超える企画をといわれても困ってしまった。
さんざん考えた末、年表を卒業まで仕上げることと業界関係者を集めて、おニャン子の本性を暴く裏話座談会の企画を出した。
「よし、それでいこう」
編集長のGOは出たものの、座談会のメンバーをどうするかで行き詰まってしまった。芸能担当になって一年ちょいだが、芸能界でおニャン子につながる人脈はない。フジテレビ関係となるとそれ以上にない。どうしたものか、悩みに悩んだ末、昔馴染みの「噂の真相」に相談してみようと思いついた。
「よう! 元気にやってるらしいじゃない」
久々の電話にも関わらず、川端さんの声はうららかだ。実は...と座談会のメンバーで苦労していることを伝えた。
「大丈夫、オールナイトフジの関係者とか知ってるから、おニャン子関係も多分いけるんじゃないかな」
(やりィ~!)
心の中で喝采を上げながら、是非紹介をとお願いする。
「いいよ。ただし、交換条件として、その座談会が済んだあともっとヤバ目の話もしてもらって、大橋くんにウチの記事を書いてほしいんだけど」
(えっ、オレなんかが「噂の真相」に書いていいんスカ?)
川端さんのしたたかな要求に一瞬驚きつつも、キョヒったら、座談会のメンバーを紹介してもらえない。会社的にはアルバイトは禁止だが、これは建前であることは、既に知っていた。それにまさか業界2年生が「噂の真相」に書いてるなんて誰も思わないだろう。これも雑誌を面白くするためって大義名分もあることだし、どっちにしても背に腹は代えられない。オレは、川端さんの交換条件をのまざるを得なかった(嫌がっているように書いているが、内心はあの「噂の真相」に記事が書けると喜んでいたのが事実だ。オレ的には、自分の企画が実現でき、いつかは書きたいと思っていた「噂の真相」に寄稿できると一石二鳥だったのだ)。
そんなワケで、座談会はライターを同席させずに行った。そして、それを元にして「投稿写真」「噂の真相」の10月号にそれぞれの原稿を書いた。内容的には全く違ったものになっているので、これに気づいた読者はおそらくいないと思う。発売日がちょうど2週間違っていたので、時間的な余裕があったのは幸いだった。
そして、サン出版への入社で一時的に切れていた「噂の真相」とのつながりが復活し、学生時代のようにとはいかないものの、時間の余裕のある時に撮影などの仕事をたまに受けるようになった。