5月31日(金)
02年日韓共催のW杯がついに開幕。フランス対セネガルといういきなり歴史的問題を抱えた興味深い開幕戦。しかし僕はもちろん韓国にもおらず、あろうことかテレビの前にもいられない。なぜなら岸和田の怪人・中場利一氏が『岸和田少年愚連隊』シリーズ完結記念で上京して来てくれたからだ。こうなってしまったらW杯どころではない。
中場さんにお会いするのは初めてだったので、とりあえず名刺交換。サンスポでW杯コラムを連載していると聞いていたので
「中場さん、W杯はどこが優勝ですか?」と何げなく質問してすると
「そやな…。まず頑張って欲しいのはフーリガンだ。フーリガン対大阪府警が一番の見せどころやな。あんな透明な楯つくたって、接近戦には弱いでぇ。フーリガンがみんなしがみついて、いいおみやげになるんちゃうか。そんでその次はフーリガン対広島暴走族だな」ともう岸和田ワールドまっしぐら。
僕は、営業という仕事柄、かなり多くの人に会ってきた自信がある。けれどこの中場さんほど面白い人に会ったことはないような気がする。本日7時から飲み始めたのだが、あっという間に時計は12時を回り、その間、中場さんのトークによって3分間隔で大爆笑させられてしまったほど。筋トレなんかしなくても、腹筋がゴワゴワになるほど痛いのなんの。いったいどうして中場さんはこんなに面白い発想が出来るんだろうか?と頭の中味を調べたくなったが、もしそんなことをしたら僕が頭をカチ割られるは間違いないだろう。
中場さんで思い出したが、先日読者の方からお問い合わせを受け調べたところ、なんとあのデビュー作であり、名作の『岸和田少年愚連隊』が幻冬舎文庫で品切れ重版未定だというではないか。単行本を製作した版元としてこんなやるせない事態はない。あれほど文庫に欲しいと打診しておきながら、いざ作ればたった1年程度で終わりだなんてちょっと信じられない。売れないのならともかく、僕は多くの書店さんで棚回転が良いと聞いていたし、うちの単行本だって非常に長く売れていたのだ。いったい、どういうことなんだ?
こちらはまさに生みの親であり、育ての親。文庫に出すというのは、結婚で娘を奪われる哀しい親の気持ちというもの。どれほどツライ気分で送り出したかわかっているのだろうか? おまけに正編『岸和田少年愚連隊』が読めないのであれば、それに続くシリーズもある種無意味になってしまうではないか。納得できないこと尽くめに、憤りを感じてしまう。もうこうなったら単行本を再度増刷してしまおうかと考えている次第。
いやはや、著者の皆さん。文庫は確かに普及版かもしれませんが、その普及期間は年々短くなる傾向にあります。かつてのように名作を長く受け入れる容器ではなくなって来ております。もしその文庫の在庫がなくなった場合、その作品は<この世に存在しない本>になる可能性も大きいです。文庫化の際は、このような点をご考慮下さい。