WEB本の雑誌

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11月30日(火)

 朝から机に向かって様々な資料を開きつつ、悩みに悩む。しかしその表情は事務の浜田に「気持ち悪い」と指摘されるほどニヤけていて、まあ幸せな悩みである。

 悩んでいるのは、本日印刷会社に発注する予定の『増刊 おすすめ文庫王国2004年度版』の初回刷り部数。この増刊も6年目ならある程度実績もわかっていていつもなら悩む必要もなく発注していたのだが、なんと今年は初回注文〆切の10日も前に、昨年の初回注文部数を越えてしまったのだ。集計結果が出た時「これから10日間休んでいいか?」と荷物をまとめてしまったが、会社というものはなぜか常に昨対を100%以上越えることを目標にしているそうで、そういうわけにはいかないらしい。くそ!

 それにしても年度ものの出版物は、通常年を重ねるごとに落ちていくものが多く、こうやって上向きになるのは珍しいのではなかろうか。しかし初回注文が増えた理由はしっかりあって、前年の2003年度版の実売があがっているのである。

 うう、去年の今頃、たぶんこの日誌でも書いたと思うけど、編集の金子とかなり苦労して作った成果が、こうやって1年経って数字が出てみるときちんと表れているんだ。金子はすでに退職してしまってこの場にいないから、一緒に手を握り合って喜ぶことが出来ないのがとても残念だけど、とにかく朝からそのことがうれしくてニヤついていたのである。

 さて今年だ。今年はその相方・金子が退職しちまって、新しい相方・荒木と作っていかなきゃならなくなった。いや荒木も優秀で編集を任すのはまったく問題ないのだけれど、何せ金子と性格が180度反対で、それは企画の打ち合わせをしているときに顕著に表れる。例えばこんな感じ。

<金子の場合>

杉江「こういう企画思いついたんですけど…(資料を出しつつ、企画を話す)」
金子「ケッ」
杉江「ダメ?」
金子「ダメ!」
杉江「どうして面白くない?」
金子「面白くない! 杉江君さぁ、僕のところに持ってくる前に一晩寝かせて考えてくれない?」
杉江「えっ? これ3日前に考えたんだけど」
金子「……。じゃあさ、小出しに持ってこないで、みんなまとめて持ってきてよ。そしたら50個に1個くらい使えるのがあるかもしれないかな」

<荒木の場合>

杉江「あのさ、企画思いついたんだけど」
荒木「いいっすねぇ」
杉江「まだ話してないんだけど」
荒木「ハハハ」
杉江「でね。(資料を出しつつ、企画を話す)」
荒木「いいっすねぇ、最高っすよ。いやー笑っちゃう」
杉江「ほんと?」
荒木「ほんとですよ」
杉江「じゃあ、こんなのは?」
荒木「うわー、最高っす。それ行きましょう!」

 この極端な違いにどう対応したら良いのかわからない。金子は金子で僕のようなバカ野郎にはちっと小難し過ぎたし、荒木は荒木で僕以上にインチキくさい。うーん、編集者って普通の人いないのか?

 まあ、どんな相手だろうととにかく面白い本が作れればいいわけで、秋から何度も荒木と打ち合わせしてきた『おすすめ文庫王国2004年度版』も、あと20日ほどで出来上がる。

 目玉の企画のひとつは、なんといっても『文庫めった斬り』で、いやはや『本の雑誌』の夏の特大号でやって話題を集めた『出版社めった斬り』より恐ろしい座談会になってしまったではないか。果たして僕と荒木に2005年がやってくるのだろうか?

 そんなことより刷り部数だ。
 出版社にとってはお金と等しい、注文短冊(書店さんからの注文書)の束を何度もめくりながら熟考。
 そしてしっかり部数を載せて発注する。
 荒木よ、頑張るぞぉ!

11月29日(月)

 出る前はいったいどこまで覚えてもらえているんだろうか? とか、それこそ書店員さんが一回りしてしまって売れるなんて意識もなかったりした、原リョウ(字が出ません、スミマセン。アマゾンを確認したら「寮」の字をあてていた!!!)の約10年ぶりの新刊『愚か者死すべし』(早川書房)が、期待どおりか、期待を超えてか、本日廻った書店さん(神保町、池袋の数店)では、同日発売になった他の有名著者の新刊を押さえて、凄い勢いで売れているとか。

 いやはややっぱりみんな待っていたんですね。もちろん僕も待っていた一人で、即読了。今は、感想を言い合いたい気分。

 著者で本が売れなくなって久しい昨今、忘れられずに売れているというのは何だか他社商品なのに嬉しい。ある書店員さんは「ミステリーのファンはしっかり待ってくれて良いですよね」と話していたが、今年はまさに待たれた作家の新刊(シリーズ)が出まくった年かもしれない。

 そしてそれらがしっかり売れているのをみると、著者で売れなくなった理由を、読者の変貌に求めてはいけないという気がしてくる。著者に読者がつかないんじゃなくて、ただただその著者が面白いものを書き続けていないってことなんじゃないかという気がしてくる。

 読者(お客さん)はとってもシビアになって来ていて、つまらない作品を1、2作書いたりするとすぐ離れていってしまうのだ。いやー、恐い。でも、その代わりちょっと良い物を書くとすぐに誰かが拾ってくれるという傾向はあるけれど。

 なんだか作家になるのも大変だろうけれど、作家で居続けるのは本当に大変だ。そして出版社も著者名でなく、作品自体の質でしっかり判断しなければならなくなっているってことだ。

11月26日(金)

 朝、ソファに座って新聞を眺めていたら、布団から起き出した娘が背後に立つ。そして目隠しをするように顔に手を当ててきたが、その手は目隠しするのではなくなぜか僕の前髪を上に持ち上げるではないか。そして漏らした一言がこれ。

「ああ、こんなにピカピカになっちゃって」

11月25日(木)


 昨夜、9時に寝たおかげで、風邪がだいぶ良くなる。寝るのが一番。顧問・目黒が風邪をひかない理由がよくわかる。

 午後からは本屋大賞の裏方の打ち合わせ。圧倒的に金が足りず、頭を抱えてしまう。誰でも思いつくこの企画を、それでも誰もやらなかった理由がよくわかる。もう少し自立した状況にしない限り、長く続けるのは難しいだ。スポンサー大募集中です。よろしくお願いします。

11月24日(水)


 優勝で気が抜けたのか、風邪をひいてしまったようだ。熱っぽくて咳が止まらない。しかしノドが痛いのは、風邪のせいなのか、大声の出し過ぎなのか分からない。

 会社の台所に置いてあったルルを飲んで、営業へ向かう。ところが、雲の上を歩いているようなフワフワした感じだったので予定を変更し近場の新宿を廻ることにする。そういえば新宿の山下書店さんは昨日で閉店してしまったのだと思い出し、あわててお店を覗くとすでに板張りされているではないか!

 うーん、あっけないものだなとその板張りの前でたたずんでいると、かつて山下書店さんで働いていらしたMさんが中から出てきたのでビックリ。Mさんは山下書店さん退職後、旗の台に自分のお店を開けた独立組。本日は捨てるもののなかで何か使えるものがあれば譲ってもらえないかと見に来たらしい。この機とばかりにお茶のお誘いをし、いろいろとお話。

 その話が終え、再度山下書店さんへ戻るとF店長さんと担当のFさんがちょうど顔を出されたので、改めてお世話になったお礼。F店長さんは「もう昨日からずーっとバタバタしていて感傷にひたる時間もありませんでした」と話され、そして「この経験を次に活かします」と決意を語られる。

 次のお店、楽しみにしていますとご挨拶し、山下書店新宿店を後にする。
 もう、この場を訪れることはないだろうなぁ。

11月23日(火)


 優勝が決まるのがこの日だったら死者でもでるんじゃないかと心配していた柏レイソル戦。前節で決まっていたから良かった良かったと安心したが、結局この日試合の行われる日立台に押し込められたレッズサポはスタンドからあふれそうになるほどの過密状態。

 埼京線のラッシュにもまれつつサッカーを見るような感じだが、何せここはスタンドとピッチが近く、ボール蹴る音はもちろん指示の声も聞こえる小さなスタジアムだから、大興奮の競技場なのである。

 その小さなスタジアムを盛りあげたのは我らがエメル尊様で、得点王を決めるハットトリックを達成。うーんほんとにこんな凄い選手を生で見られる喜び、しかもこの小さなスタジアムで見られる幸福感は何物にも代え難い。

 試合は主力選手を休ませつつも圧倒的な展開で4対0の大勝利。セカンドステージは残すところあと1試合、年間1位も目前だ。

11月22日(月)


 誰も彼もがビックリするが、しっかり仕事に出たのである。おめでとうのFAXを頂きました銀座K書店のYさん、それから浜松Y書店ジュビロサポのTさんありがとうございました。声が出ないのでこちらでお礼をさせていただきます。

 真面目に仕事をし、夜は横浜で飲み会。そのとき書店員Kさんが大興奮でプッシュしていたのが『対岸の彼女』角田光代著(文藝春秋)。ここ数日お店でもずっと『対岸の彼女』の話をしているそうで、そののめり込みようは尋常ではない。そういえば先週その本を目黒と事務の浜田も大絶賛していたな。

 その飲み会で出会ったNさんというベテラン書店員さんに思わず一目惚れ、って55歳の男性なんですが、ってそういう意味でもありません、って一体何を書いているんだ、僕は。とにかくNさん、とっても素敵なおじさまで、思わず「おとうさん」と呼ばせていただいてもよろしいでしょうか?なんて口走ってしまうほど惚れてしまった。

 この出会いを作ってくれたのは実は本屋大賞で、いやはやいろんなことがあったけれど、本当に本屋大賞を作って良かったと思う夜。

11月20日(土) 炎のサッカー日誌 ステージ優勝篇

 力強い光源の発煙筒が焚かれる。
 その発煙筒からはもくもくと白い煙が吐き出され、火薬の匂いが鼻につく。
 太鼓の音が街中に鳴り響く。その音に吸い寄せられるように赤い格好をした人々が集まり、その集まりはいつの間にか群衆と呼ばれるものになっていた。脇に立つお巡りさんがトランシーバーに向かって「浦和ポイント方面へ移動」とその群衆の行き先を報告していたが、そのお巡りさんの頭上をマンションの屋上から打ち上げられた花火が破裂する。

 その花火に合わせて、また歌が始まる。
 「ド ドン ド ドン ドン うらーわ れっず」

 11月20日、夜8時23分。浦和の商店街。
 そこにあるのは、いくばくかの疲労と達成感。
 そして笑顔と見知らぬ仲間とのハイタッチ。

 この日の名古屋戦は残念ながら負けてしまったけれど、13節で優勝を決めたことを考えるとまったく下を向くことはない。それだけ僕ら浦和レッズは圧倒的な強さで第2ステージを独走していたのである。

 ガンバ大阪が敗北し、優勝を知った瞬間は、正直嬉しいというより、やっとこの12年間続いた長い戦いが終わったという安堵感に包まれた。そのとき涙は出なかった。いや涙はすでに前日から流していたので枯れていたのかもしれないが、喜びよりも安堵感が強かった。

 とにかく12年間の戦いがこの日ひとつ決着をつけたのである。これから浦和レッズは新しい歴史を作ることになるだろう。

 多くの人に「弱いのが好きだったんじゃないの?」なんて聞かれるが、サッカーはそんなに甘いものではないだろう。これから5年くらいは上位にいられるチームになったと思うけれど、1シーズン制で優勝するのは大変なことだし、世代交代やチーム運営を一歩間違えばあっという間に弱体化するだろう。強くなるには時間がかかるが、弱くなるのは簡単なことだ。

 そして僕はそれらの浦和レッズの発展と衰退の歴史をこれからもずっと見続けていくのだ。時には喜び、時には泣き、時には怒鳴り、ずっとずっと見続けるのだ。思えばJリーグと浦和レッズが生まれたのが92年で、そのときはまだ子供どころか結婚も就職もしていなかったのだ。間違いなく時が過ぎており、そしてこれからも過ぎる。

 いつまでも浦和レッズとともに生きたい。
 WE ARE REDS.

11月19日(金) 浦和レッズ ステージ優勝は 明日!

 もしかして上のカウントダウン1日多かったのか? 1で終わりでなく0なのか? よくわからないけれど、とにかく決戦は明日である。そしてその相手はJリーグ創設以来浦和の前に壁として立ちはだかり続けた名古屋グランパスエイトだ。この壁を崩してこその優勝に深く意味を感じている。

 今朝は浜田に書かれてしまったように、駒場前抽立ち寄り後に出社。いつも3倍以上の人出にみんなの気合いを感じてしまう。前抽結果はまあまあで、あまり良すぎると負けるという嫌なジンクスからは逃れられた。

 ちなみに前夜は飲み会で酔っぱらって帰宅したのに、頭は興奮と緊張でまったく眠くならず。結局浦和レッズの過去93年からのイヤービデオを見続けるという暴挙に出てしまいほとんど徹夜。いやはやほんといっちゃってます。

 しかししかし、実はこれでも結構しっかり仕事をしていて、人間やっぱり目標があると充実するものなのだ。本日もキッチリ神保町を営業し、いつも以上の成果。おまけに書泉ブックマートでレッズ優勝記念関連雑誌はすべて予約という訳のわからない注文を出してしまったが、その注文を受けている書店員さんも実はレッズサポで、すぐに話が通じてしまうのが恐ろしい。

 アレ! 浦和レッズ!!

11月18日(木) 浦和レッズ ステージ優勝まで あと3日


 夜、とある書店員さんを中心とした飲み会に参加。

 この飲み会は、出版社、取次店、編集プロダクションの方など結構幅広く、しかも年齢もバラバラだからいろんな話が伺える、いつも楽しみにしている集まりなのだ。

 しかしそこでこの日名刺交換させていただいたH出版社の営業マンの方が80歳で現役営業マンというのは本当の話だったのだろうか? 確かにご年配な感じはあったけれど、それにしては姿勢なんて僕よりビシっとしているし、柔和な雰囲気はどう見ても現役だ。うーん、でもウソなんてつくわけないし、きっと本当のことなのだろう。

 80歳といえば、たぶん御茶ノ水・茗渓堂書店の坂本さんもそれくらいのお年だろう。しかし坂本さんもいつも姿勢正しく、そして僕なんかより元気だ。

 なんだかこの先の仕事についてうまくイメージすることが出来ず、果たしてどのように仕事をしていけば良いのかなんて、結構悩むこともあるのだけれど、なんかこういう先輩達を知ると生涯現役営業マンもカッコイイな。

 問題はその頃まで『本の雑誌』があるかということと、もしあった場合、あの細かい字が読めるのか?ってことだ。そうか! 一緒に大活字版を作れば良いのか。

11月17日(水) 浦和レッズ ステージ優勝まで あと4日


 上で毎日カウントダウンしているように、我が浦和レッズの優勝を間近に控え、テレビや雑誌等での露出が増えてきている。それを見かけるために胸にこみ上げてくるものがあり、仕事が滞る。そして早くも涙。そういや地元浦和じゃ「浦和の涙」という焼酎が発売になり(なんとナビスコ決勝の翌日売り出すというタイミング)、すでに完売に近いとか。もちろん僕も買いました。

 果たして来週は仕事になるのだろうか? まあ12年待ったことが起きるのだから、一週間くらい会社を休んだって平気だろう。元々役に立たない社員だし、本の雑誌社としては異色の新刊『千利休』清原なつの著の見本もあがり、営業的には一段落ついたところだから、OKだろう。

 この『千利休』は、発行人の浜本がこの業界にいるなら絶対いつか出したかったという、漫画家・清原なつのさんの十年ぶりくらいの新作で、浜本は企画の段階からもう興奮のしっぱなし。「カワイイでしょ、カワイイでしょ」とゲラを掲げる浜本茂44歳。ああ、こんなキャラだったのかとビックリ。

 しかし僕自身はコミックに疎く、イマイチわからないまま営業を開始してしまったのだが、そのぼんやりさにいくつかの書店さんで「もーーーー。清原さんの新作じゃないですか!!! もっとしっかり営業しなさい!!」と怒られてしまった。そうなのかと反省しつつも、いつもと違うところへ営業に向かう難しさも噛みしめる。

 そう、経営サイドや編集サイドから見たら、例えば紀伊國屋書店新宿本店さんや三省堂書店神田本店さんというのは、ひとつの取引先としか映らないだろうけれど、営業的にみると、それぞれジャンルごとに担当者が変わるわけで、これはもうそれぞれの別の取引先になるのだ。

 人間関係はイチから作らなきゃいけないし、しかしそれが継続的にでるジャンルならまだしも、いきなり1作だけ専門外のジャンルの本を出すというのは結構難しいもので、まあ、それは本の雑誌社というほとんどいちジャンルの本を出してきているある種専門出版社にいるからこその甘えなんだろうけれど。

 と愚痴ってみたくなったのだが、新しい取引先では新たな出会いもあるわけで、それはそれで面白かったりして、まあイチローの打率ほどうまくいかないけれど、10軒に1軒でもうまく営業出来たときの喜びは大きい。

 大手町、東京、六本木などを廻って会社に戻ると、入り口すぐにある作業机の上に浜本が寝ているではないか! どうしたんですか? と慌てて駆け寄ると「うー、風邪だ。つらい、ぼーっとする。ああ、薬のせいなのか、それとも具合が悪いの」とつぶやき、うつろな視線で僕を見つめる。

 どうも世間では風邪が急速に流行っている様子。皆様、お気を付けください。特にレッズサポの皆様、こんなところで風邪をひいて、週末の観戦ができなくなるなんて最悪ですから、お互い気を付けましょう。

11月16日(火) 浦和レッズ ステージ優勝まで あと5日

 最近どこか気持ちのバランスが崩れているようで調子が悪い。気付くと駅のホームでぼんやり電車を待ちがながら「嫌だな、嫌だな」なんて呟いている。その「嫌だな」は自分に向かっていて、ようは30歳過ぎて自己嫌悪なのだが、10代の頃のように他人のせいにすることも出来ず結構キツイ。

 とりあえず会社を辞めてみるか、なんて考えてしまうが、辞めてどうやって暮らしていけばいいのかもわらないし、退職してスッキリするのかもわからない。唯一の救いは我が浦和レッズが優勝間近なことなのだが、うーん、参った。


 長老みさわさんのホームページ『味噌蔵』(http://homepage3.nifty.com/misogura/index.htm)で出版売上に関しての問いかけがあったので、何となく調べ出して驚いたのがこの数字。みさわさんの問いかけの答えにはなっていないと思うんですが…。

書籍雑誌の年間販売額 ÷    人口    =一人当りの年間購入額
1兆7386億円   ÷ 1億2586万人 = 1万3814円

99年(平成11)書籍雑誌書店経由分実販売額
「出版年間2001」(出版ニュース社)より

 こういう平均値に意味があるのかわからないけれど、一人当り年間1万3千円も本や雑誌に使われているというのには正直驚いてしまった。僕の廻りじゃ本なんて1年に1冊も買わない奴がいっぱいし、自分自身を顧みて本をCDやゲームや映画という同様の嗜好品に置き換えてみると、実はそれらにまったくお金を使っていなかったので、もっと少ないものだと思い込んでいたのだ。

 しかも、これに新古書店を含めた古本市場を足したらもっともっと増えるわけで、何だか出版不況とか本離れなんて言っていられないんじゃないか? うーん、どうなんだろう?

11月15日(月) 浦和レッズ ステージ優勝まで あと6日

 ずーっと不思議に思っているのだけれど、例えば書店さんの入り口近くの一番良い場所にドーンと本を並べて売られていることがある。いやそういうお店はどんどん増えているのだが、それでその本が「売れる」と「売れた、売れた」って話になるのだけれど、その際「売れた」と言える基準の部数というのがあるのだろうか?

 いや、当然その部数がお店によって違うのはわかっている。そうじゃなくて販売の真理として、どんなものだって良い場所に置けばそこそこ売れるということで、ではその「売った」「売れた」と言う際には、何と比較して売れたと言うことが出来るのか?ってことが不思議なのだ。

 うーん、何だかうまく書けないなあ。

 例えば同月同期間同じ場所で別々の本を売る(それは不可能だけれど)ことによって、こっちが売れたというのなら理解できるし、その単品書籍が売れたことによって、そのジャンル、あるいはお店の売り上げがアップしたなら評価することが出来ると思う。またその場所そのものの坪単価が出ていて、それを超えたのなら売れたといえるのだろう。

 しかしその辺の相対的な評価はなく、ただ『○○』を何部売ったという話が一人歩きすることが多く、最近そういう話を聞くと思わず懐疑的な気分になってしまうのだ。もしかしたら違う本を置い方がもっと売れたかもしれないし、あるいは10点同一の本を置くより、個別の本を置いた方が結果が良かったかもしれないと。

 そんな単品販売を一番喜んでいるのは実は出版社であろう。出版社から見ればお店全体の売上やジャンルの売上なんて関係なく、ただただ自社の商品が売れれば良いのだから、そうやって書店員さんをのせていく傾向が強くなっている気がする。あるいはその単品販売データを他店に見せ煽ることも可能であろう。

 そんな風潮に関して、あるベテラン書店員さんが言っていたのは「書店発、書店発なんて騒いでいるけど、そんな本はほとんどないよね。その多くが出版社本意、すなわち配本本意で売ってるってことだよ」とのことで、確かにそうのかもしれない。

 最近の文芸書の売り方は、ゲラを配り、良い反応のあったところに多く配本し、多く来たから大きく展開するって感じだろうか。それは悪いことではないだろうと思うけれど、ゲラが届くのはほんの一部の書店さんであって、その辺の不均衡は変わっていないのが残念だ。

 しかし、また別の書店員さんからは、こんな話を伺った。「結局、単品販売はわかりやすいし、管理が楽なんですよ、今なんか人が少ないから、ついそれでね…」。となると単品販売は、出版社、書店ともにおいしい販売形態なのであろうか? ではお客さんにとってはどうなんだろうか?

 うーん、やっぱりうまく書けないし、何が書きたかったのかもわからなくなってしまった。本来はこの辺で「とにかく」なんて言葉で無理矢理まとめたいのだけれど、今回は「とにかく」の後に続く文章が出てこない。ここは北上次郎を真似しよう。このテーマは宿題にさせてください。

11月12日(金)


 夕方、営業を終え会社に戻ると、ワープロ以外で絶対書けない「憂鬱」な雰囲気が社内を取り巻いていた。どっぷりと沈んだ空気、誰も彼もが下を向いているではないか。あわてて、どうしたの?と浜田に質問すると、ハァーと深いため息の後、その理由を教えてくれた。

「杉江さんはいいですよね、今日書店員さんの送別会でしょ。私たちは、ジャイ・リサなんです。え? ジャイ・リサがわからないんですか? そうか、杉江さん呼ばれたことないですもんね。えーっと、ジャイ・リサはジャイアン・リサイタルの略ですよ。そうそう、前にブックファーストの林さんがなぜか呼ばれちゃって、危うく全商品返品になりそうになったんですから…」

 ジャイアンリサイタルはわかったが、ジャイアンが誰かわらかない。

「ジャイアンですか? そんなのわかるじゃないですか? 金子さんがいなくなってから社内でバンドやっているのは一人しかないんですから。それにジャイアンですから、権力者ですよ」

 なるほどなるほど、ここのところ仕事中に妙にどこかへ消えていくのを不信に思っていたのだが、浜本のバンドのライブが今日だったのか?

「浜本さんのバンドが悪いわけじゃないんです。ギターの人なんてプロですし、人気漫画家のYさんがヴォーカルでそれはそれで格好いいんです。でもその真ん中でドタドタドラムを叩いているジャイアンが…。うー、背筋が凍る」

 というわけで6時30分になると、浜田、松村、助っ人の及川という本日の生け贄がうなだれつつライブ会場へ向かうのであった。

 ちなみに、当然このジャイ・リサに通うことが本の雑誌社の出世の道である。来春あたりは、浜田が営業部長、松村が編集部長、そして及川が助っ人次長あたりになっているであろう。いやはや。

11月11日(木)

 とある書店を訪問したところ、いつもは温厚な店長さんが腹立たしげに一枚の紙を取り上げた。
「見て見てこれ」そこには販売中止とあり、何かと思って読んでみると、あのドールハウスやらレーシングカーやらおまけというか、そちらが主のコレクションアイテムのついた雑誌「デル・プラド」シリーズの書店販売中止のお知らせであった。

「契約かなんかしらないけど、今まで買っていたお客さんになんていえばいいのさ? こういうのは全部集めるから意味があるんでしょ。それをこんな中途半端に止められたら、金返せって言われるよ。ああ、販売するなら、きちんと責任もって欲しいよ」

 うーん、小説の巻数ものが途中で止まってしまうのも問題大アリだけど、これはちょっとまずいんでないか…。

11月10日(水)

『本の雑誌』12月号の搬入日。先月は冗談ぬきで妙に売れてしまった。その理由がファンタジー特集だったからか、黄色い表紙だったかは謎のままであるけれど、他の出版社の人から聞いたところ、黄色い表紙の本が売れるというのは、出版業界で古くから言われ続けている定説らしい。

 そういえば本の雑誌社としては記録的に売れた『岸和田少年愚連隊』も黄色い表紙だったな。荒木よ、これからみんな黄色い表紙にしよう。

 この2ヶ月ほど早く出社したがために一人で搬入という地獄を味わったので、笹塚駅到着後、駅前のエクセルシオールカフェにて1時間ほど読書。
 
 9時半になったので会社に行くが、なぜか今月は早朝便で着いていない。うーん、何で僕は早く来たときだけ、早く来るんだ? といっても10時過ぎにはトラックが着き、みんなで搬入作業。みんな?

 搬入を終え、事務作業を終えたところで、本日は早退。娘が来春から入園予定の幼稚園に行き、制服のサイズ合わせに行かなければならないのだ。

 その幼稚園で、母親の集団に混じって野郎一人娘の制服合わせに格闘していたのだが、いやはや制服姿の娘のカワイイこと。親の子育ての方針は、サポーターと一緒で、褒めるときも怒るときも本気でしかもハッキリとである。

 だから娘に抱きつき、「お前はなんてカワイイんだ、最高だ、結婚してくれ」と頬ずりしていたら、先生から白い目で見られてしまった。うーん、どこへ行っても「変な人」扱いになるんだよなぁ…。

11月9日(火)

 本日降りた駅。
 南越ヶ谷、北千住、松戸、新松戸、柏、船橋、津田沼、本八幡。
 とても必死に働いた感じがするけれど、ただ単に要領が悪いだけで、炎の営業名物、〆切間際のジグザグ営業だ。恥ずかしい限り。

 しかし、やっぱり人と人の繋がりは、電話やメールでなく本人に会うってことが一番大事だと考えいるので、例えどんなにバタバタになろうが、久しぶりになってしまおうが、それから要領が悪かろうが、やっぱりしっかり書店さんを訪問したいと思っている。

 そして今日のようなバタバタ営業でも会えばいろいろな話が出来るし、そのなかには本を売ることに関してはもちろん、作ることに関してもいっぱいヒントが転がっている。

 問題はそれをうまく編集に活かせるかってことで、編集者というのは書店さんから直接聞いた話は素直に従ったりするのに、営業マンが一枚噛むとそっぽを向いてしまったりするから不思議である。

 もしかしてこの業界、編集と営業っていう仕事の分け方が問題なんじゃないか…なんてことを最近考えているのだが、自分で本を作る時間なんてとても確保できそうにないんだよな。夏からやろうと思っている出版目録すら結局1ページも作れないんだから。うー、参った。

11月8日(月)


 小さなことだけどどうも納得できないことのいくつかに囲まれ悶々とする。元々集団が苦手でなるべく小さな会社で働こうと考え、初めに就職した会社は30人ちょっとの会社だったがそれでも結構疲れた。そしてその後、社員5人というこれより小さな株式会社もそうそうないだろうって規模の、この本の雑誌社に転職したのだが、たった5人でもやはりぐったりしてしまうことが往々にして起こるものだ。

 しかしかといってひとりで独立でもして、やっていくほど能力はないわけで、まあうまく気持ちに折り合いをつけるしかない。こういう気分のときは営業に向かうのが一番と、本日もバリバリ営業日、略してバリA。

 まず新宿のK書店さんにとあるデータを届けに行くと、仕入れでも売り場でも「ついにですね」と声をかけられ、思わず胸を張ってしまった。ハイ、当然浦和レッズの優勝のことです。

 その勢いに任せ、一路埼玉へ。川口のS書店さんには熱烈なマリノスサポの書店員さんがいらしゃって、こちらではもうすでにチャンピオンシップのお話。「FC東京みたいにいやらしく守るよ」と笑われるが、絶対エメが決めてくれますと答え、とりあえずどっちが勝っても12月に飲みましょうと約束。

 そしてそして営業としては初訪問の新都心コクーンへ。うん? 平日も思ったより人がいるんだなと感心しつつK書店さんを訪問すると、なんとなんと久しぶりの書店員さんに再会でき思わず感動してしまう。「想像していたより平日のお客さんがいらしゃってくれて、しかも土日の人出は想像を超えるて凄いです」とのこと。そうなんだよなぁ、実は我が家も何度かお休みの日にこのコクーンに来ていて、娘を「忍たま乱太郎」と遊ばせているんだよなぁ。

 その後も埼玉をかけずり廻り気付いたら夜になっていたので直帰の連絡を入れる。うーん、すっかり気分も良くなっていて、いやはや僕のホームはやっぱり営業先である書店さんってことなんだろうか…。

11月6日(土) 炎のサッカー日誌 2004.12

 生きている限り、否が応でも明日は来るわけで、ナビスコ決勝の敗北にいつまでも落ちこんでいるわけにはいかない!

 しかしそれはわかっていてもそう簡単に気分転換できるわけでなく、まるでおもちゃ箱の片隅でしぼんでしまった風船のような気持ちを無理矢理脹らませ、さいたまスタジアムへ向かう。出てくるのはため息ばかりで、そんな僕を観戦仲間のアル中K氏がどやす。「ホラホラ! 前を向け前を! それがプライド オブ ウラワだろ。」まだ大して酔っていないのか、なかなか良いことをいいやがる。そう、僕らは地獄の底から這い上がって来たチームなのだ。

 キックオフ! 

 散々攻めまくって結局点が入らなかったナビスコ決勝のビデオを観ているのかと思うほど、本日も攻めまくりの状態。そして前回同様、点が入らない。以前はあれほど簡単にゴールネットをボールが揺らしていたのに、今じゃ枠にも飛ばなくなってしまった。いやはや重苦しい雰囲気が漂い出したが、その雰囲気を一段と重苦しくさせられる先制点を清水エスパルスに奪われる。0対1。くー、試合は完全に支配しているというのにどういうことだ! 

 ハーフタイムに他会場の経過が入り、2位のガンバ大阪は3対0の楽勝モード。ここまで勝ち点7差で残り4試合なわけで、それはもう断然優位な状況なのだが、この日もしそれが勝ち点4差に迫られてしまったらネガティブスパイラルに陥り…なんてとんでもないことを考えてしまう。

 何をいう、サポが信じなくてどうする! レプリカユニフォームに縫いつけられているエンブレムを握りしめ勝利を祈り、大声を出す。

 そういえば、昔昔、本日の対戦相手清水エスパルスと戦うときは、スタジアムに来るのもいやだったんだよな。清水の個人技の巧さ、そしてパスワークの完璧さを見せつけられ、我ら浦和レッズの不甲斐なさを嫌というほど思い知らされるのがオチだった。こりゃ何年経っても追いつけやしないや、なんて考えていたが、それがどうだ! 今、目の前で我らがレッズの赤いユニフォームの選手達がほとんどボールを支配し、美しいパスワークとスピードあふれる攻めを見せているではないか。

 そうなのだ! 浦和レッズは、正真正銘進化し、強くなっているのだ!!!

 そう信じた瞬間、ケイタの代役なんて言ったら失礼なほど素晴らしいプレーを見せていた酒井がロングシュートを放ち、それが清水のDFの頭に当たり、あれよあれよゴールネットを揺らしてしまうではないか。それはナビスコ決勝から計算すると188分ぶりのゴール。アル中K氏に抱きつき歓喜!歓喜!歓喜!

 こうなりゃあとは勝つしかないわけで、レッズの強さを見せつけるしかない。そしてその期待に応えてくれたのは、漢(おとこ)闘莉王で、2対1の逆転勝利! これでほぼ優勝決定だ!! しかも良いことも良くないこともあった聖地・駒場での優勝か!!!

 試合終了後、さいたまスタジアムには、現実になりつつあるこんな歌が響き渡っていた。

 浦和レッズ カンペオ~ン 浦和レッズ カンペオ~ン
 浦和レッドダイアモンズ 世界に輝け! 浦和レッズ!

11月5日(金)

 気付いてみると鼻息荒くスタートした『荒なみ編集部日誌』が10月7日以来更新が滞っているではないか。パーテーション越しに「荒木ぃ~書けぇ~」と脅したが「勘弁してくらさい」とほとんど病人のようなか細い声で答えが帰ってくるだけ。

 ここ数週間、ほとんど会社の2階から出社してくるのだから、相当忙しいのだろう。いやはや、結局本の雑誌社でこんな連載を続けられるほど暇人は僕しかいないってことか…。

 基本的には暇人ではあるけれど、やはり忙しい日というか、気合いの入る日はあって、本日はバリバリ営業の日。略して「バリA」。って略す必要もないんだけど。渋谷、銀座という通常なら二日かけて行う地区を1日で勝負をかける。走る走る、しゃべるしゃべる。

 夕方6時にはノドがガラガラになり、足もカクカク。しかし満足感は最高で、やっぱり一生懸命仕事をするのは良いもんだ。

 銀座通りには大勢にサラリーマンやOLやカップルが金曜日の夜を楽しもうとネオンに顔を照らされていた。

 働くことと、家に帰ることしかない自分の人生がちょっと淋しくなって、ぼーっと道ばたにたたずんでしまうが、伊東屋と無印良品に入るのが精一杯の寄り道。無印良品って本も売っているのか…。

11月4日(木)


 新宿を営業。

 現在、新宿の話題といえば、先週末にオープンしたジュンク堂書店さんの話になるのだろうが、ジュンク堂書店さんはどこまでいってもジュンク堂であり「新宿にジュンク堂書店ができました」としか書きようがないし、それで伝わるのではなかろうか。まあ、文字で表すならこんな感じかな? 

棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本レジ
棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本
棚本棚本棚本棚本棚本エスカレータ棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本
棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本
棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本
棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本
喫茶棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本棚本

 とにかく圧倒的な在庫量で、ヘビーな読者にはたまらない場所になるだろう。


 その陰で、「新宿のお嬢」にてながしまさんが報告されていたとおり、今月23日をもって山下書店新宿店さんが閉店となる。こちらは本の雑誌社にとって御茶ノ水の茗渓堂さんとともに、黎明期を支えてくれたお店であり、閉店すると知ったときには、僕以外にも目黒や椎名もビックリしていたのだ。いやはやツライ。

 しかし本当にツライのは僕でなく、店員さん達であろう。本日F店長さんや担当のFさんと棚を眺めつつ話していても当然盛り上がりはせずなんとなくため息がもれてしまいそう。今まで「棚には個性が宿る」と考えていたが、本日新たなことを気付いた。棚には個性だけでなく感情も宿るのだ。

 山下書店新宿店の棚から泣き声が聞こえていた。

11月3日(水) 炎のサッカー日誌 ナビスコカップファイナル篇

負けちゃった 負けちゃった FC東京に負けちゃった
悔しくって 悔しくって 涙が止まらなくて
電車のなかでも 泣いちゃった
あんまり悔しくって 電信柱を殴ってみたら
拳が真っ赤に腫れちゃった

やっとの思いで 家にたどり着き
玄関を開けたところで 崩れ落ち
今度はほんとに涙が 止まらなくなっちゃって
かーちゃんに タオルを投げられた

娘はとーちゃんが本気で泣いているのにビックリして
いつもとーちゃんがしているみたいに
ヨシヨシしてくれたけれど
それでもやっぱり涙が止まらない

たかがナビスコって 慰めてみたり
リーグがあるじゃないかって 気分を変えてみたけど
やっぱり悔しさは 消えなくて
仕方ないから寝ちゃおうかと思ったけれど
まったく眠れやしなかった
PKを外した達也やノブヒサも眠れないのかな なんて考えてみたら
まったどっと涙があふれてきて 結局一睡もできず
朝になっちゃった

そういや24時間前の早朝の まだ日も昇っていない明け方に
自転車で飛び出し 始発電車に飛び乗った
その電車は まるで真っ赤なやつらの貸し切り電車で
みんなみんな燃えていたんだ

日が昇り 試合が始まり 日が沈み 試合が終わる
日が昇り 試合が始まり 日が沈み 試合が終わる

11月2日(火)

 金、月と会社を休んでしまったので4日ぶりの出社。

 机の上には大量のFAXとメモ、そして未読メールの山…なんて書ければカッコ良いんだけれど、木曜日の夜とほとんど同じ状態に思わず笑ってしまう。

 入社8年目を迎えさすがにこれほど役立たない社員もまずい。もう少ししっかり仕事をしようと反省するのだが、その舌の根も乾かぬうちに携帯のメールが鳴り出し、こちらは明日に迫ったナビスコカップ決勝の話。3年連続決勝進出! しかも敵は憎きFC東京。これで燃えないわけがなく、結局仕事なんて手に付かなくなってしまう。

 しかしそうはいってもさすがに仕事は追いかけてくるわけで、とにかく書店さんを廻り、営業活動。ああ、明日の今頃は祝勝会で、大酒を飲んでいるのだろうか? それとも…。いやいやそんなことはないだろう! 3年目だけど、この緊張感に耐えられそうにない。嗚呼。

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