新しい仕事が降りかかりそうになり、それを引き受けたらパンクしますねと断ったのだが、すでにパンクしている気がする…。
思い出してみると入社数年は本当に営業のことだけやっていれば良かったのだが、いつの間にか営業に、単行本の企画に、ホームページに、本屋大賞にととんでもないことになっているではないか。
仕事も出来ないのに好奇心ばかり強い僕の性質と、自分の仕事だけで手一杯な他の社員の組み合わせが、功を奏し、じゃなくて悪魔の組み合わせになってしまったのだろう。まあ、他の会社に勤めていたとしても、何年かすると仕事が多種多様になっていくのは当然なのだがろうが、そうなったときには部下がいたりして仕事の分担が出来たりするのだろう。
ううっ、誰かいれてくれ~。
できれば部下より上司希望と会社の中心で叫んでみるが、まだ9時前で誰も出社していなかった。
とりあえず「進行中の仕事」というノートを作って、足したり消したりしていってるのだが、とにもかくにも最優先は当然営業活動で、なぜなら本の雑誌社はパターン配本を一切使わない注文制の出版社だから、廻らなくては本は並ばず=食えない、という事態になってしまうのだ。
これが普通の出版社なら…と思うのだが、そうはいっても最近は、パターン配本なんて名ばかりで、中小出版社はきちんと事前注文を取って、新刊時に短冊を提出しないと配本してもらえないんだから同じことか。たぶんその消えてしまったパターン配本の代わりに出版社は本部への営業を増やしているのだと思うのだが、それはそれでうまく本部と売場とかみ合わないと、返品が増えるだけだったりして難しい。
営業方法をいろいろと考えてみるのだが、やっぱり僕は担当者と顔を合わせて仕事をするのが一番好きだし、ベターな気がする。
なんてことを悩みつつ、聖蹟桜ヶ丘のときわ書房さんを訪問したら、その売場のパワーに圧倒され、しばし呆然。すごい…、どうしてこんなお店が出来るの?
担当のTさんに話を伺うが、いやはやTさん。僕、入社当時からの付き合いだと思うんですけど、ここ数年のこの爆発的な成長って何なんでしょうか? 正直、仕事のレベル、付いていくのがやっとです。思わず驚きというか、尊敬です。
もし今、どこか地方から書店員さんが来て、どこか見るべき書店はありますか? と聞かれたら、僕は間違いなくこのときわ書房聖蹟桜ヶ丘店を挙げるだろう。それは何も茶木さんを知っているからでなく、それくらい素晴らしい工夫とノウハウが、そして本への愛情がこのお店には詰まっているからだ。百聞は一見にしかず、覗いてみて欲しい。
Tさんのパワーに圧倒されつつ、棚陰で思わず負けるもんかと呟く。
仕事が多いなんて愚痴をいっている場合じゃない!