6月28日(火)~7月1日(金)
唐突に忙しくなってしまったのは、何だかわからないうちに採用面接の立ち会いをすることになったからだ。まあ、そうはいっても当然僕に人事権なんてあるわけでなく、ただただ浜本のワキに座って、あれこれ質問をするって係りなのだが、いやはやこれが結構大変。
そんななか、やっと出た我が愛する金城一紀の新刊『SPEED』(角川書店)だ。ピンクの装丁にビックリしつつ、いつ、どこで読んだかは、とても面接を担当している人間が言えない場所だが、いやはや、待った甲斐があったというもの。至福の時間とはこのことだ。
それにしても金城一紀が作家として誕生してからの、若者はなんて幸せなんだろうか?
『GO』にしろ『レヴォリューションNo.3』にしろ『フライ、ダディ、フライ』にしろ、もちろん『対話篇』にしも、明日が変わるっていうか、世の中の可能性について教えてくれるっていうか、なんていったら良いのかわからないけど大事なものがいっぱい詰まっていて、こんなもんを10代のうちに読めたらどれだけ幸せなことか。いや僕は33歳でこの『SPEED』読んでいるんだけど、ものすごく走り出したくなったり、飛びたくもなったりして、ああ、歳なんて関係ないんだな。
今回の『SPEED』は女子高生が主人公で、今までとはちょっと違うのかななんて思ったけど、ゾンビーズの面々がいつも通り活躍するし、シリーズものらしい仕掛けもいっぱいで、何気ないシーンで涙が出そうになってしまうこともしばしば。そしてそしてその中心には金城一紀特有の“希望”がいっぱい詰まっている。
そうか娘が大きくなったら『SPEED』をプレゼントしよう。息子には『レヴォリューションNo.3』を、妻には『GO』を、そして僕自身は『フライ、ダディ、フライ』だ。
ああ、幸せ!