8月31日(木)
面白い、というか不思議なもんだ。だから営業は辞められない。
というのも営業しながら、今月の新刊『エンターテイメント作家ファイル108 国内編』北上次郎著の売れ調(売れ行き調査)をしているのだが、とあるお店では初回10冊入れてすでに完売、追加でまた10冊直納していたりする。また規模も場所もほとんど変わらない別のお店では、5冊入れて1冊も売れたなかったりする。毎回動きの速いお店もあれば、じっくり動くお店もある。どちらも同じような棚に置いてあるのに、こんなハッキリ違いが出るのはなぜなんだろうか?客層の違いもあるだろうし、天気だったり、曜日だったりもあるだろう。
そうそうとある駅前の本屋さんで聞いた話だが、「女性誌の発売日が土日なってしまうと、もうその月の売上はガタッと落ちる」なんてこともあるそうで、しょせん人間を相手にしている商売だからいろんなことが起きるのは当然のことだろう。
とにかくそんな売れ帳に一喜一憂喜怒哀楽しつつ、夕方まで営業。その後、ジュンク堂池袋本店へ。本日は翻訳文学ブックカフェPART.19なのだ。
ところが、担当の田口さんにお会いすると「待っていたのよ」とカウンターの中から何やら取りだし、渡される。それは、おお!田口さんの新作『書店繁盛記』(ポプラ社)ではないか! 来週発売予定(9月6日搬入)なのだが、その見本を頂戴してしまった。ありがとうございます。
中をペラペラめくってみると、ネットの連載分を話題によって再構成しており、とても読みやすくなっているしイラストがかわいいのなんの。『書店風雲録』が過去の書店(リブロ)を描いた作品であったのに対し、今回の『書店繁盛記』は現在の書店を描いているといった感じ。臨場感たっぷりだし、最後「若い書店員へ」は出版業界人必読の文章だと思う。
さてそんなことで盛り上がりつつ、翻訳文学ブックカフェがスタート。今回のゲストは新潮社のクレスト・ブックスの翻訳や『石の葬式』パノス・カルジネス(白水社)の翻訳で活躍されている岩本正恵さん。ところがその話を聞いていると隣りに立っている発行人の浜本はしきりに「こんな人前で立派に話せるようになるとは」なんて感慨深げ。うん? どうして?
こちらは打ち上げの飲み会で教えていただいたのだが、なんと岩本さん、元・本の雑誌社の助っ人アルバイトだったそうなのだ。しかも浜本が大事にしていた『百年の孤独』G・ガルシア=マルケスにコーヒーをこぼしたことがあるのそうで、そんなことより、そのことを20年近く経ってもブツブツ言っている浜本が恐ろしい。この人、食べものと本の恨みは忘れないってことか?