2月14日(木)
通勤読書は、雑魚から鯨にひとっ飛び。
第14回小学館ノンフィクション大賞を受賞した『煙る鯨影』駒村吉重(小学館)。日本で5艘だけ残った商業捕鯨船に一年を同船した著者のルポ。捕鯨ものというとどうしても国際捕鯨委員会等の政治の話になりがちなのだが、この本はそこを踏まえつつも、7人乗りの小さな捕鯨船から見た捕鯨の現実を描いている。いや捕鯨本というよりは、漁師という生き様を描いたノンフィクションであろう。なかなか打ち解けられるずにいる船長との関係など著者の揺れ動く気持ちが、とっても真摯で、だからこそ一文一文に想いがこもっているのがわかる。今も日本のどこかで、この人達が鯨を追っているかと思うと、それだけ何だか豊かな気分になれるのはなぜだろう。
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某作家さんが出版営業を主人公に小説を書いているそうで、取材を受ける。
2時間ほど、デパートの古書市に吸い寄せられるとか、暑さに負けてプールに飛び込むとか、ダメ営業マンの現実を話したら、呆れられてしまった。出版営業の皆様スミマセンです。
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先日見本を持っていった時に地方小出版流通センターKさんから「ここ3年の新刊で一番いいよ!」と喜んでいただけた渡辺一枝さんの写真集『風の馬』が本日搬入となる。ひとりでも多くの人にこのモノクロ写真を見ていただけることを願ってます。
また朝日新聞夕刊で連載されていた「ニッポン 人・脈・記 わが町で本を出す(全13回)」は、昨年の本屋大賞の記事で頭に来て朝日新聞購読をやめた私を、改めて新聞購読させるほどのヒット! 本とは何か? 出版とは何か? 特に一番最後の結びの文章が心に残る。
「みんな『ヤセ我慢』をしながら志を貫いている。」