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2月21日(木)

 ここ数日読み続けていた『新世界より』貴志祐介(講談社)を読み終える。傑作傑作大傑作。まだ2月だが言ってしまおう。今年のベスト1は決まりだ!

 いやはや、久しぶりに自分がいる現実世界と、本のなかで語られる世界の区別がつかなくなり、本から顔を上げた瞬間「ここはどこ? 化けネズミはいないよね?」なんて辺りを見わたしてしまった。

 あれは確か10代の終わり、書店でアルバイトをしていたときに、バックヤードにうずたかく積まれていた新刊『IT』スティーブン・キング(文藝春秋)を見つけ、厚さと金額に恐れつつも、表紙絵に引き込まれ(実はそれまでスティーブン・キングを1冊も読んだことがなかった)、思わず購入。その夜からもはやあの世界から抜け出せず、翌日はアルバイトを休んで一気読みしたことを思い出す。

 私が読書を続けてきたひとつの理由は、おそらく、ああいう気分をもう一度味わいからであるのだが、そんな本はそうそうない。ないのだが、ついに出会ってしまった。それがこの『新世界より』貴志祐介(講談社)だ。

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