新宿のブックファーストルミネ1店に『本屋大賞2008』を直納。
本の重さなんて関係ない。私は、売れている実感を強く持てる直納が大好きだ。やっぱり売れるのは楽しい。
南口のK書店さんを訪問するが、担当者さんがちょうど休憩に入られたところでお会いできず残念無念。しかし入口の面陳台で展開されいた西加奈子の新刊『こうふくあかの』と『こうふくみどりの』(ともに小学館)のPOPがすごい。これだけ熱のこもった文章をどうしたら書けるのか。そしてこんなPOPが立てられた本は、本当に幸福だ。
目黒、五反田を営業するが、なかなか担当者さんに会えないアンラッキーデイ。ただでさえ昨日の引き分けを引きずり、気持ちが落ちこんでいるからこれは辛い。しかももう開いているのかと思っていた五反田のブックファーストさんや23日からだとか。うーむ。
16時に恵比寿へ向かい、『辺境の旅はゾウにかぎる』の装丁をデザイナーさんにお願いにあがる。しかししかし私の手元に、自分で書かれた住所は恵比寿2丁目○○○と書かれているのだが、その場所にそのマンションがない。あれ? と辺りを彷徨うがまったく見あたらない。あと5分で約束の時間になるのだが、これでは遅れてしまうと、新聞販売所に場所を確認すると、なんとそのマンションは恵比寿2丁目ではなく、恵比寿南2丁目だというではないか! しかも南2丁目は線路を挟んで反対側だ!!
私は高校生活3年間で遅刻を287回したという、遅刻魔であったのだが、社会に出てからは父親の教えに従い、遅刻だけはしないようにしている。遅刻どころかほとんどの場合、15分前には待ち合わせ場所に着くように行動している。それなのに……。
私の頭のなかを爆風スランプの「ランナー」が流れ出した。新聞販売所にお礼を言い、恵比寿の街を駆ける。推定12人くらいの人しかわからないと思うけれど、昨日の浦和レッズの右サイド・平川より走ったことは間違いない。
結局10分遅れで、デザイナーさんのところに到着。息も絶え絶えで、打ち合わせをはじめさせていただいたら、そこへ電話が鳴る。デザイナーさんが受話器を取り話している。
「あっ! 恵比寿2丁目じゃなくて、恵比寿南2丁目なんです」
バイク便も私と同じ間違えをしたようだ。
★ ★ ★
その後、先週オープンした秋葉原のブックファーストさんを覗いた後、新宿京王プラザホテルへ。本日は新潮社さん主催の「第7回 女による女のためのR−18文学賞」の贈呈式があるのだ。本屋大賞でお世話になったので、そのウラを返すために、列席させていただく。
大賞は『自縄自縛の二乗』蛭田亜沙子さん、読者賞は『16歳はセックスの齢』山内マリコさんであった。お二人ともすごい美人でビックリ。そして挨拶がとても初々しく感動してしまう。さっそくタッキーを出動し、ご挨拶させる。ちなみに受賞作は「小説新潮」6月号に掲載される予定だとか。
★ ★ ★
そのパーティー会場で新潮社の宣伝部のSさんと名刺交換させていただくと、私の名刺に印刷されている「本の雑誌」のロゴを指さし、「一号から読んでいるんですよ」とおっしゃるではないか!
実はこのSさんこそが、目黒考二が『本の雑誌風雲録』で「現在にいたるも誰が書いたのか、わらない」と書かれていた、新潮社の書店向け販促誌「販売ジャーナル」で「本の雑誌」創刊号を紹介していただいたその人なのであった。いや書いたのは別の方らしいのだが、その方に「本の雑誌」を紹介したのだがこのSさんだったのだ!
「日販に行った帰りにお茶の水の茗渓堂さんに寄ったらね、たまたま見つけて。それが面白くて会社に戻って同僚にいいまわってね。それでまた面白がった同僚が書いたんだけど」
今の僕があるのは、まさにこの人たちのおかげであろう。
「ひとつ言えるのは出版業界の人間は、もっと本の話をしないとダメだよ。面白い本を見つけたらもっともっと言わないと。」
「本の雑誌」はそういう雑誌であり続けたい。