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7月30日(水)

サッカー戦術クロニクル
『サッカー戦術クロニクル』
西部 謙司
カンゼン
1,575円(税込)
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 誕生日である。37歳になってしまった。
 もし僕がJリーガーだったらおそらくすでに引退していたであろう。Jリーガーじゃなくて良かった。

 発行人の浜本から本の雑誌社唯一の福利厚生である誕生日プレゼント(図書カード5000円)をいただく。同じ誕生日の松村も一緒にもらっていたので、年齢を尋ねたら「女性に年を聞くなんてなんて失礼なやつなんだ!」と浜本に怒られるが、「別にいいんじゃないですか?」と松村は素直に年齢を教えてくれた。紳士を気取る浜本の愛煙生活もあと二日。

 「本の雑誌」8月号の「サッカー本ベストイレブン」でツートップの1角に選ばれた西部謙司の新刊『サッカー戦術クロニクル トータルフットボールとは何か?』(カンゼン)を読む。世界に衝撃を与えた1974年のオランダ代表のトータルフットボールから、現在までいかに戦術が進化してきたのか、非常にわかりやすく書かれた好著。

 日本人は戦術というとつい3−5−2や4−4−2などのフォーメーションを思い浮かべてしまうが、それは単なる配置であって、いかにボールを取り、ゴールを奪うのか、そのために選手はどう動く必要があるのか、それが戦術なのである。この本では、その辺のことを80年代のACミランや、現在のチェルシーなど具体的にどういったプレッシングをかけているのか、あるいはそのためにどういう練習をしていたのかなどを教えてくれるので、この本を読んでからサッカーを観ると、よりいっそう楽しめるようになるだろう。

 できることならこれのJリーグ版を書いて欲しい。加茂のゾーンプレスは受け売りだったとか、黄金期のジュビロのサッカーがどうすごかったのか? 甲府で大木がやろうとしたサッカーは何だったのか? とかそういうのが浦和レッズサポのJリーグウォッチャーは読みたいのだ。

 本日も亜熱帯地方へ。娘にポケモンラリーを頼まれたが、一日で終わってしまった。

7月29日(火)

仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書)
『仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書)』
鈴木 敏夫
岩波書店
777円(税込)
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 娘と息子が観てもいないのに朝から「ポニョ」の主題歌を歌っている影響を受け、『仕事道楽 スタジオジブリの現場』鈴木敏夫(岩波新書)を読む。仕事中に机の廻りを宮崎駿に彷徨かれ、置いてある本や聴いている音楽をきかれるくらいなら、まだ本の雑誌社の方がマシであろう。
 なんて冗談はさておき、「相槌」の話や宮崎駿や高畑勲などとに食い入る際の姿勢など、結構仕事に役立つ本だった。

 昼前から本日も亜熱帯地方へ旅立つ。これくらい平気さ......。

7月28日(月)

うたうひと
『うたうひと』
小路 幸也
祥伝社
1,680円(税込)
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 昨日の帰宅は、首都高の工事渋滞にはまって午前2時。眠い。

 通勤読書は『うたうひと』小路幸也(祥伝社)。ギターリスト、ボーカル、トランペット吹き、シンガーソングライター、ドラマー、ピアニスト、コミックバンドが主人公の短篇(何となく誰か想像できる)が、緩やかに繋がる作品集。「笑うライオン」と「その夜に歌う」にやられる。

 パソコンが大不調。仕方なくというわけではないのだが亜熱帯地方へ旅立つ。
 だいぶ身体が順化してきたので、これくらいの暑さでは汗もかかない。

7月27日(日) ぼくのJリーグライフ

 初めはそれを鹿島サポによる演出だと思った。スタジアムは真っ白になり、そこで行われている試合がまるで雲のなかのように見えるのだ。かつて発煙筒の代わりにバルサンを焚いたあの爆笑の演出をまた行っているのかと思った。

 しかしそれは演出ではなかった。激しい稲光をともなう猛烈な雨だった。
 審判はあわててボールを保持し、選手たちにベンチに戻るよう指示をした。前半39分、試合は中断となった。

 ぼくはコンコースに避難し、フットボールの魔力について考えていた。
 明日は仕事の日曜の夜、自宅から100キロ離れたスタジアムに向かうのはなぜなのか。
 雷の鳴るなかでカッパを持っていながらも着ずに、ユニフォームもズボンもビショビショになって応援しているのはなぜなのか。

 理由なんてわからない。
 とにかくフットボールが、浦和レッズが好きなのだ。

 何度も何度も場内アナウンスが流れる。
「最後のお願いです。気持はわかりますがコンコースに避難してください」
 それでも避難しないサポーターは歌い続けていた。 

 1時間の中断後、試合は始まり、半ば予想どおり、この世で一番ムカツク選手が浦和ゴールにボールと突き刺す。しかしこちらもある意味予想どおり、後半終了間際、田中達也の足がクロスに触るようにし、ボールは鹿島ゴールラインを超えた。

 フットボールの魔力は、田中達也の足先に宿っていた。
 We are Reds.

7月22日(火)

 昼。新人編集者タッキーがファミリーマートのからあげ弁当とカップヌードルシーフド味をぱくぱく食べていたら、発行人の浜本が近寄ってきて(この人はなぜか人の食べているものをチェックするのが趣味なのである)、「お前それは食い過ぎだろう!」と大きな声で指摘した。

 人が何を食おうが、どれだけ食おうがいいじゃないかと思うのだが、タッキーはからあげを口に入れながら「からあげ最高!」と小さな声で呟いた。浜本はその後も松村の弁当やら小林の弁当やらにぶつぶつ難癖をつけ、自分も昼飯を買いにファミリーマートに行ったのである。

 その浜本が袋から取り出したのが、炊き込み弁当とチゲ春雨ヌードルであった。おい! タッキーと変わらないではないか。「えっ?! 春雨だもん」なんだかわからない言い訳をするのである。しかもしばらく別のことを考えていてふっと顔を戻したら、浜本が手にしているのはなぜかおにぎりなのである。しかもそれは手製の家から持ってきたおにぎりなのである。おにぎり?! 大きな声を出そうと思ったら、浜本は「しー」っと指を立てた。どれだけ食えば満足するんだ?

★    ★    ★

 暑い。猛烈に暑い。しかし営業は続く。

 とある書店さんで9月の新刊『サブカルチャー創世記』(仮題)の話をしたら、なんとその書店員さんは「ワンダーランド」の創刊号を持っていて、しかもしかみ植草甚一さんにサインをしてもらったというではないか。今までその書店員さんとこういう話はしたことがなく、というよりは営業トーク以外は話したことがなったのだけれど、そこから当時の出版の話や音楽などの話を伺うことができ、まさに本が取り持つ縁である。

 こういことがあるから、暑くても書店さんを廻るのだ。

★    ★    ★

 吉祥寺を半分だけ営業。
 R書店Mさんと話をしていて、なるほど!と膝を打ったのが、最近売れている本の傾向である。

 一連の血液型にしても、『からだにおいしい野菜の便利帳』板木利隆監修や『一目でわかる! 必ず見つかる! ホントのツボがちゃんと押せる本』加藤雅俊(ともに高橋書店)などすべて新しいものではなく、今までもずっとあったジャンルの本なのだ。それを見せ方を変えて編集する事でこれだけ売れているというまず事実。

 そしてそれら売れている本の共通項は、どこからも読めてどこでも辞められることだという。そういえば同様のことを錦糸町のB書店Sさんにも教えられたことを思い出す。だから小説は……と。うーむ。どこからでも読める小説ってそれはアンソロジーや短篇集なのではないか?

 しかしどうもそれらは今のところイマイチの売れ行きだそうで、もっと短くないとダメなのではないかととある超短篇集(といっても見開きで終わる?!)が、結構売れていると話され衝撃を受けたが、しかし例えば「R25」や最近のお笑いなど、短くてどこから読めるもの(見られるもの)の流行りを指摘され、納得する。そうなのか、そうなのか。

 まあ、それらはすべてベストセラーの話なので、本の雑誌社が超短篇を出すことはないと思うけれど、世の中の流れとしては、そういう流れのようである。ちなみに僕が書店さんを廻っていて血液型の本の前で感じたのは、たいていこの本はひとりでなく、2,3人の子が囲んで盛り上がりながらレジに持っていくのだ。

 本というものほど個人の楽しみなアイテムはないと思っていたのだが、今売れている本の多くはコミュニケーションツールになっていたりするのではなかろうか。それはおそらく昨年まで売れていたケイタイ小説も一緒だろうし、ブームが去りつつある新書も一緒だったのではなかろうか。

 って、実はよくわからないんだけど。

★   ★     ★

 書店店頭は、祥伝社の新刊『しらみつぶしの時計』法月綸太郎著、『うたうひと』小路幸也著、
『血の冠』香納諒一著などが並んでにぎやかだった。

 明日はハリーポッター最後の祭りである。踊ってみたいな。

7月21日(月) ぼくのJリーグライフ

浦和レッズVS川崎フロンターレ 
1対3の敗北

 ガックリと肩を落とし、冷めた弁当を食卓で食べていたら、夏休みの娘が寄ってくる。

「パパさ、フロンターレなんて弱いとか言っていて負けたじゃん。私テレビで見ていたんだからね。フロンターレ強かったよ」

 頼む、宿題なんてやらんでいいから、そっとしておいてくれ。オロローン。

7月18日(金)

 夜。ジュンク堂書店新宿店で高野秀行さんのトークイベント。今回は対談でなく、『怪獣記』と『幻獣ムベンベを追え』の際に回していたビデオを上映していただく。高野さんのファンは、ほんとうに老若男女幅が広く、いろんな方が会場を埋めた。

 その上映会中、2本目の映像が突然フリーズするというアクシデントに見舞われる。クライマックスの前だっただけに大変残念というか、お客さまには大変申し訳ないことをしまして、どうもスミマセンでした。N店長さんが店内を駆けずり回り、DVDプレイヤーを2台持ち寄り、どうにか片方で再上映できたのが、いやはや高野さんのイベントは何かが起こるのである。

 これは高野さんの呼び込んでしまう体質のせいか、それとも僕の準備不足なのかわからないけれど、ほんとうに何かが起こる。しかし高野さん自身はそんなトラブルに慣れているせいか、今回も特に焦ることもなく、会終了後の打ち上げでは「ジュンク堂さんの対応がなんか全然焦ってなくてそれがまるで辺境みたいで助かりました」と話されていた。

 とにもかくにも『辺境の旅はゾウにかぎる』の出版記念イベントは今回で終了。
 お疲れさまでした!

7月16日(水)

イメージ

 流水書房広尾店を訪問すると、入口の棚が何だか目に付く。

 棚の上部に「広尾セレクション 花のある暮らし」と棚タイトルが付けられていた。

 さっそくベテラン書店員であるI店長さんにお話を伺うと「生活にうるおいを与えてくれるような本」を選んで置いているそうで、『小さな生活』津田晴美(ちくま文庫)、『包む』幸田文(講談社文芸文庫)、『凛と咲く--草木言語花の彩時記』熊井明子(じゃこめてい出版)、『満月村』大坪奈古・森 洋子(パロル舎)、『美しい日本の道具たち』高森寛子(晶文社)なんていうのが売れているそうだ。

 あまりに素晴らしい棚なので、思わず「I店長さんはどうやってこういう棚づくりを学んできたんですか?」と聞いてしまったが、I店長は笑いながらこう話された。

「この間も他のスタッフと棚作りの話をしていたんだけど、こればっかりはセンスなんだよね。だから今日入ってきた人間でもセンスのある子は出来るんだ。もちろんそこに経験が積み重なって選書に活きたりはするんだけど」

 たしかにそうなんだろうけれど、でも僕がいちばん感じたのは、もう書店員になって何十年も経っているはずなのに、棚作りの話を日常でしているというところにヒントがあるのではなかろうか。

 いずれにしてもいつ訪問しても「発見」のある素晴らしいお店である。

写真

平台にはこんな本が並んでいた


7月15日(火)

 頭の痛い問題を抱えつつ7月の新刊『ほたら、一丁。』中場利一著の見本を持って取次店トーハンさんへ。

 その仕入れ窓口で、8月から再建予定の草思社の営業マンKさんとお会いする。するとKさん、ぼくの持っていた見本を見て呟いた。
「いいなぁ、新刊見本」

 そうなのだ。本が出せるだけでも幸せなのだ。
 Kさん、ぼくも頑張ります!

7月14日(月)

本の学校・出版産業シンポジウム2007記録集―書店の未来をデザインする
『本の学校・出版産業シンポジウム2007記録集―書店の未来をデザインする』
唯学書房
2,310円(税込)
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「杉江さんに言われたとおり、結構いい人ですっていろんな出版社の人に言ってますよ」と笑うのは、新宿B書店のKさんで、先日訪問した際「椎名酔狂祭」なんていうフェアをしていただいていたので、思わず椎名さんに色紙をいただいて持っていったのだ。妙に感謝されると照れくさいので「ああ見えても結構いい人なんですよと触れ回ってください」と言っておいたのだ。

 そのKさんとはサブカルチャー棚の定義について議論。ちょうど今ぼくがテープ起こしをしている「坂の上のパルコ」の第3回目のテーマがサブカルチャーで、いやはやもっと早く起こせば良かったのだ。そういえば渋谷のL書店Yさんからも「更新まだですか?」なんて言われていたのだ。

 夜は、御茶ノ水M書店のKさんなどと酒。昨年コーディネーターとして参加した本の学校・出版産業シンポジウムが収録された『書店の未来をデザインする』本の学校編(唯学書房)をいただく。

7月11日(金)

カイシャデイズ
『カイシャデイズ』
山本 幸久
文藝春秋
1,450円(税込)
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 三省堂書店神保町本店での『辺境の旅はゾウにかぎる』出版記念・高野秀行×宮田珠己対談を終えた後の飲み会で、同席していた新潮社の編集者Aさんに「杉江さん、好きな作家の本作れて幸せでしょう」と言われたが、ほんとうにそのとおりだと思う。ぼくのわがままな行動を許してくれている本の雑誌のメンバーに感謝しております。今日も、浜田と松村が忙しいなか助けに来てくれたし。

......なんて突然真面目に書いているのは『カイシャデイズ』山本幸久(文藝春秋)を読んだ影響からか。山本幸久の上手さなんてとっくのとうに分かっているのだが、いやはやほんとうに上手い。例えば経理兼総務部大屋の喜びをこう書くのだ。

「社員みんなの給料を数えている大屋は満足だった。その数字のむこうには、社員の笑顔が見えた。さらにそのうしろにはそれぞれの家族がいる。そう考えると幸せな気分になれた。自分の働きで他人が幸せになる。これが仕事だ。」

 働いている人みんなが愉しめる小説だろう。

7月9日(水)

本の雑誌 302号 油蝉ガムテープ号
『本の雑誌 302号 油蝉ガムテープ号』
本の雑誌社
680円(税込)
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 昨夜はどうもジャイアン・リサイタルこと発行人・浜本のライブがあったようなのだが、本の雑誌社からはついに誰も顔を出さなかったとか。かわいそうに。しかも追い打ちをかけるように本日沢野さんのライブがあるのだが、そちらには浜田と松村はもちろん、制作の市村さんに、事務所のWさんも顔を出すとか。この差が果たしてどこから来るのだろうか......。
 
「本の雑誌」2008年8月特大号が搬入となる。今号の目玉はなんといっても世界初!「サッカー本ベストイレブン代表選考会議」であろう。毎年年末にたったひとりでサッカー本大賞を選んで来たのだが、なんと同好の士がいたのである。夢の実現だ!

 書店店頭を廻っているのだが、どうも注文がシブイ。
 それもそのはず今月は『ハリーポッター』の最終巻の発売があるので、場所的な問題や仕入れ金額の問題で、他の本は削られる方向らしい。出版社もそのことを踏まえて、先月前倒しで、大量の新刊を出したようなのだが、何だかガックリ。

7月8日(火)

ザ・ロード
『ザ・ロード』
コーマック・マッカーシー
早川書房
1,890円(税込)
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 昨日事務の浜田に貸した『さよなら渓谷』吉田修一著(新潮社)が一日で戻ってきた。
「面白すぎて一気読みでした。私は『悪人』よりこっちが好きかも」

 甘いな浜田。僕が昨日から読みだしたコーマック・マッカーシー『ザ・ロード』(早川書房)もすごいぜ! 核戦争後と思われるアメリカを、親子が旅しているんだけど、もうこれがたまらないのだ。今朝なんてココアを啜るシーンで号泣しちまった。

★   ★   ★

 しかし体調がすぐれない。夏バテな上に、夜な夜な単行本用の原稿の直しをしているから完全に寝不足なのだ。しかも先週末は浦和レッズに、フットサルとまったく休息のない休みを過ごしてしまったから体力もゼロ。

 思わず早退しようかと思ったが、7月の新刊『ほたら、一丁。』中場利一著の営業が佳境を迎えているので、身体を引きずるようにして営業へ向かう。

★   ★   ★

 古くから付き合いのある書店員さんを訪問すると
「ちょうど良いタイミングですね。いつもだったら忙しくて、営業マンの相手は平均1分半です。しかもほとんど話を聞かず、チラシだけ置いていってくださいって。もちろんほとんどその後、注文しないんですけど」と話される。

 営業マンが邪魔であることは理解しているし、だからこそ有用な情報をお届けしようと思っているのだが、有能な書店員さんほど実は営業が持ってくる情報なんて先に知っていたりで、やっぱり真顔でこう話されるとショックが大きい。

「いや申し訳ないと思うんですけどほんとうに忙しくて。厳しくしていればこんな遠くまで来なくなるだろうし、その方がお互い良いんじゃないかと思うんですよね」

 落ちる、落ちる、落ちる。僕の十数年間、そして365日は何なのだろうか。
 しかし。
 歩け、歩け、歩け。

7月7日(月)

 イスラム飲酒紀行の取材から戻られた高野秀行さんのところへ。『辺境の旅はゾウにかぎる』のサイン本作成と今週末に迫った三省堂書店トークイベントの打ち合わせ。

 その際、高野さんから「お世話になったんで」と取材先のチュニジアのサッカーチームのユニフォームをいただく。うおー!と著者の前だということを忘れ、大興奮。カッコイイ。以前、レッドスターの帽子のときにグチグチ書いたことを撤回します。高野さんはとってもやさしいいい人です。

 夜、本屋大賞実行委員会の理事会&総会。一年が終わり、一年が始まる。

7月4日(金)

さよなら渓谷
『さよなら渓谷』
吉田 修一
新潮社
1,470円(税込)
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 窓ぎわに座っているから、外の様子がよくわかる。本日も太陽が元気にギンギンしているではないか。都心アスファルトの上はおそらく35度を越えているだろう。

 外回りに出るか、出ないか悩みたいところだけれど、僕の仕事は外回りしかないわけで、強風のなかスポンサーのプレッシャーと残り日数を気にして、エベレストの山頂を目指すアタック隊の気分で会社から一歩外にでる。

 なぜ僕がこうしてまで本屋さんを廻るのか。もちろん注文が欲しいのはあるんだけど、それだけだったら電話でもFAXでもできるかもしれない。

「本ってさ。人が書いて、人が作って、人が売るんだからさ。もっと泥臭くていいと思うんだ」

 そんな話をしてくれたのは、青山のR書店Tさんなのだが、Tさんは都心の真ん中で、本屋さんのオヤジをやっている。お店が入っている高層ビルで働いているお客さんの趣味をたいてい把握していて「こんな新刊入りましたよ」と声をかけているのだ。何も下町だけが人情味溢れるわけでないのである。

 こういう話を棚前で伺いたくて、暑かろうが、寒かろうが書店さんを訪問している......なんて格好良いことを書きたいが、やっぱり暑さに負けて、国道246号沿いであやうく遭難しそうになる。

★   ★   ★

 通勤読書は、『さよなら渓谷』吉田修一(新潮社)。
 もし今、何か単行本の小説を買おうかなと悩んでいる不特定多数の人がいるなら、僕はこの本をオススメしたい。ページをめくる喜びというか、小説の力というか、そういうものがビンビン伝わってくる作品。

7月3日(木)

 おかげさまで順調に売れている『辺境の旅はゾウにかぎる』のトークイベントがまもなく開催になります。ジュンク堂書店新宿店の上映会は定員が少ないこともあり、すでに満員御礼ですが、7月11日(金)に開催する三省堂書店神保町本店での、高野秀行&宮田珠己&東えりかの対談はまだ若干席に余裕がございます。

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開催日時 2008年7月11日(金) 18:00開場 18:30開演
会場 三省堂書店神保町本店8階特設会場
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-1
参加方法 三省堂書店神保町本店にて『辺境の旅はゾウにかぎる』
(本の雑誌社・税込1,575円)をお買い上げの方
、先着100名様に整理券を配布します。
電話でのご予約はこちらまで→三省堂書店神保町本店 1階 03-3233-3312(代)
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7月2日(水)

駅前旅館 (新潮文庫)
『駅前旅館 (新潮文庫)』
井伏 鱒二
新潮社
420円(税込)
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まちがいだらけの自転車えらび―幸福な自転車乗りになるための正しいロードバイクの買いかた
『まちがいだらけの自転車えらび―幸福な自転車乗りになるための正しいロードバイクの買いかた』
エンゾ早川
双葉社
1,575円(税込)
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 朝、自宅で水筒に入れた麦茶が、午前中には空っぽになってしまう。氷もすでに溶けている。

 毎年のことだが、このクソみたいな季節がやってくると、この仕事に就いたことを後悔する。電車から降りたくないのだが、ひと駅ごとに降りなければならないので、身体が冷える前にまた外に出ることになる。

 千駄木の往来堂を訪問すると、Oさんとお話。
「ここ数ヶ月ずっと売り上げがいいんだけど、でもなんか棚を見るとこのままじゃいけないなって感じているんですよ」

 相変わらずしっかり品揃えされているのに、である。
「取次店の週報(今後出る新刊が載っている雑誌)やTRCの新刊全点案内、それからもちろん出版社の新刊案内を見て面白そうだなって本を仕入れているんですけど、やっぱり本屋さんに行かないとダメですね。月に一度はジュンク堂とかにいって、生の本、見てこないと......」

 北千住の紀伊國屋書店を訪問すると、入口すぐの柱廻りで面白い文庫フェアをやっているではないか。文豪のもうひとつの代表作みたいな感じで、僕がいまジワジワと読みすすめている井伏鱒二であれば、『黒い雨』や『山椒魚』ではなく、『駅前旅館』が紹介されいたり。そういえば前回訪れたときは、このフェア台で「スタッフが選んだ衝撃の1冊」みたいなテーマで並べられていて、非常に面白いのであった。

 担当のNさんにその辺りの話を伺うと「出版社に在庫がないと並べられないし、どの本を置くかみんなで相当悩んだんですよ」とのこと。いいなあ。

 夜、丸善丸の内店で、東えりかさんとエンゾ早川さんのトークショー。自転車のことはまったく知らないのだが、とても面白いトークショーであり、また自転車に乗るということがそんなに奥深いものだったのかとビックリする。「あちらの世界」に興味が湧き、『まちがいだらけの自転車選び』(双葉社)を購入し、エンゾ早川さんと対談相手の森幸春さんにサインをいただく。

 もっと夜、飯田橋のあやしい会合の飲み会へ。そこで伺った驚愕の閉店情報に、腰を抜かす。

7月1日(火)

ひゃくはち
『ひゃくはち』
早見 和真
集英社
1,470円(税込)
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 青春と読書7月号で北上次郎さんが「野球小説で、家族小説で、友情小説で、そして初恋小説の、これは傑作と断言」している『ひゃくはち』早見和真(集英社)を読む。高校野球部員を描いた等身大の青春小説だった。『1985年の奇跡』五十嵐貴久(双葉文庫)が好きな人にオススメか。

 とある書店さんでの話。
「ゲラにPOPに書店員にちょっと頼り過ぎなんじゃない?」

6月30日(月)

我が浦和レッズが5連敗。
何もやる気が起きないのであった。

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