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7月9日(木)

高校サッカー勝利学―“自立心”を高める選手育成法
『高校サッカー勝利学―“自立心”を高める選手育成法』
本田 裕一郎
カンゼン
1,728円(税込)
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祖母力 うばぢから オシムが心酔した男の行動哲学
『祖母力 うばぢから オシムが心酔した男の行動哲学』
祖母井 秀隆
光文社
1,620円(税込)
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 私は高校受験とき、当時埼玉県で一番サッカーが強かった武南高校に合格していた。
 その後、県立高校に受かったので入学することにはならなかったが、もし県立高校に落ちていたら、私は武南に行って、サッカー部に入るつもりであった。

 もちろん私の実力では、2軍どころか3軍、4軍、3年間球拾いで終わるの覚悟をしていた。それでも一生に一度くらい本物に接するのもいいかと考えていたのと、卒業してしまえばレギュラーも球拾いも一緒、「俺、武南サッカー部出身なの」なんて言って、あのユニフォームを自慢げに着たかったのだ。

 しかし行かなくて良かった、と心底思ったのは、『高校サッカー勝利学 "自立心"を高める選手育成法』本多裕一郎(カンゼン)を読んだからだ。この著者・本田裕一郎先生は高校サッカーを見ているなら誰もが知っているであろう、07年に高校サッカー三冠達成をした流通経済大柏高校サッカー部の監督である。いやこれが無茶苦茶なんだ。

 始めて赴任した市原南高校では、新設校のため何もない。グランドも山を切り開いたばかりで石ころだらけ。そこをこの本田先生は自分で整備するのだが、その記述がすごい。

「ますはみんなで石拾いをして、自分の車に電信柱みたいなものをロープで括り付けて、グラウンドをならす...。そんなことを何回やったかわかりません。この作業で何台、車をつぶしたことか」

 なんと車をつぶしているではないか。しかもグラウンドだけでなく「私はこういう仕事が好きで」と言い、丸太やトタンを手にして50人が入れる部室も作ってしまったというから恐ろしい。

 もちろんサッカーの練習はそれらを上回る情熱で取り組むから半端ではない。朝から晩までの練習は当然で、不甲斐ない試合をした日は怒りのあまりバスに一人で乗り込み帰ってしまい、選手達に60キロ走らせて学校に帰らせたこともあるとか。遠征だって宿泊費がないから「毛布を持参して芝生の上に寝たり」しているのである。

 昨年出版された『祖母力』の祖母井秀隆も、オシムを招聘するために毎日同じ時間に電話をかけ、そのとき気持ちを盛り上げるため彼の国の音楽を聴き続けたというとんでもない人であったが、それに並び、あるいは勝るサッカーバカが、この本田裕一郎先生である。

 ただしかし。この本田先生、これだけだと単なる熱血サッカーバカ先生なのであるが、自分のやっていることに疑問を持ち、間違えたと思うとすぐ方法を改めるのである。だから次に異動した習志野高校では、もう何も厳しいことを言わない。時代によって強くなる方法は違うのであろうし、とても人間臭い、いい人なのだ。

 それにしても、浦和レッズは山田直輝や原口元気などユースからどんどん良い選手が入ってきているが、日本のサッカーを支えているのはこういった高校サッカー部の先生であったり、私の娘のサッカーチームで毎週ボランティアで教えているコーチたちなのであろう。

 とにかくサッカーバカにはおすすめの1冊。

★    ★    ★

 五反田のB書店さんを訪問し、担当Tさんに『SF本の雑誌』の売行きを確認すると、すぐさまバーコードを読み取り、冊数を教えてくれた。その瞬間、閃くものがあり、後に訪問した蒲田のY書店Kさんにも同様のお願いをしたところ、こちらでは私の注文書に書いてあるISBNコードを打ち込んで確認してくれたのであるが、そのときそのパソコンにはマウスとともにバーコード読み取り機が付いていたのである。そこで私は確信を得たのである。

「もしかして注文書にバーコードをつけた方が便利ですか?」

 確認する意味でKさんに話を伺う。

「あっ、そうかも。ISBNが13桁になって以来、読み取り機がバーコードだけに反応するようになったからね。だから注文書にもスリップに入っているようなバーコードがあると便利だね」

 やっぱりそうなのだ。昨年末、私は中井の伊野尾書店さんでアルバイトさせていただいたのであるが、そのとき「これを注文してみてください」と渡されたのが、バーコード入りのスリップだった。それをピッピするだけで、発注画面に書名があがり、あとは冊数を打ち込むだけで、注文が取次ぎ店に飛ぶのである。

 なんて便利なんだろうと思ったのであるが、それは逆にもしスリップにバーコードがついていない商品があった場合、恐ろしく不便に感じることでもあった。ピッピに慣れると13桁の数字を打つだけでも面倒くさい。それが人間のサガだ。

 もちろん他の出版社ではとっくのとうにやっていることだと思うけれど、ひとり営業の私にとって本日は大変有意義な一日であった。必要は発明の母。

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