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7月28日(火)

終の住処
『終の住処』
磯崎 憲一郎
新潮社
1,296円(税込)
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 朝起きて隣に寝ている父親が丸坊主になっていたときの8歳の女の子の反応。
「うひょー、U字工事そっくり。ごめんねごめんね〜って言ってみて」

 朝起きて隣に寝ている父親が丸坊主になっていたときの4歳の男の子の反応。
「ぼくと一緒の頭だ。ゴシゴシ」

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「朝日新聞」の文芸時評で斉藤美奈子が「覚えておいでだろうか。一昨年の夏、出版界を騒然とさせたのはケータイ小説の流行だった。大人の目には安っぽく映る十代の愛と性を山盛りにしたケータイ小説。それが上半期ベストセラー「単行本・文芸」部門のうち、トップ10の過半数を占めたのだ。しかるに、それから2年たった2009年上半期のランキングにケータイ小説は一冊も入っていない。ブームが去るのは早い。1〜2年前がウソみたい。」と書いているのだが、確かに特出して売れているものはないかもしれけれど、ケータイ小説はすでに定番化し、主に郊外の書店では、文芸書よりずーっと棚回転も良く売れているのだ。

 それと文庫化が進んでいるから、「単行本・文芸」部門のベストセラーに入らなくなったということもあるだろう。ケータイ小説を出している出版社の営業マンと話したときに驚いたのだが、その初版部数はハッキリ言って「単行本・文芸」部門でよほどのベストセラー作家以外考えられない部数であった。

 ブームが去るのが早いのは、ケータイ小説に限らず他のベストセラーもまったく一緒で、本日訪問した紀伊國屋書店新宿本店のKさんは「今まで経験したことがないくらい売行きがピタッと止まる。メディアに取り上げられた瞬間に在庫を持っているかが勝負」と話していたほどだ。人間の購買心理が変わってきているのだろう。

 その紀伊國屋書店新宿本店の対決フェアで村上春樹と並べられ、ずーっと気になっていた磯崎憲一郎の芥川受賞作『終の住処』(新潮社)を読む。

 芥川賞受賞作を読むのはいつ以来だろうか。帯に「妻はそれきり11年、口を利かなかった──」とあるが、口を利かないほうが幸せだと思う。文学性に関しては私にはわからないが、ようは笑える夫婦小説なのではないか。

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『スットコランド日記』宮田珠己著の見本を持って取次店まわり。
N社の仕入れ窓口で、タイトルが誤植だと思われた。そりゃそう思うだろう。

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