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9月3日(木)

 昨日のトークイベント前に、ジュンク堂新宿店で自腹仕入れ旅をした「京阪神〝本の集まる所に、人は集まる〟フェア」の棚で、なんとも面白そうな古本を発見し、購入したのであった。

『風土記日本 1巻 九州・沖縄篇』(平凡社)

 こちらは約50年ほど前の民族学的な本なのであるが、図版や表も多く、今、私が求めている最良の書であった。高野さんが探していた奄美のケンモンもしっかり紹介されていたりして、宝物本入り間違いなし、なのであった。

 ところが問題はこれが1巻目であるということで、<九州・沖縄篇>とういうことは、四国や関西、関東に北海道などもあるのだろう。しかし中を見ても何巻まであるか説明もなく、こんな古い本の仲間と次出会えるのはいつだろうか、一生揃うことはないんじゃないかと落ち込んでいたのである。

 そこで試しにアマゾンで検索してみると、なんと検索データが挙ってきて、しかも全品<中古商品>で販売されているから驚いた。恐るべきアマゾン。ポチッ。

 しかし私が一番驚いたのは、本という物のすごさである。

 汚れているとはいえ、読むということに関しては50年前のものでもまったく問題なく、今も変わらずその役割を果たしているのである。そういえば、先日会った永江朗さんは「出版の未来を私はまったく悲観しておりません」と言っていて、その理由を尋ねたら「本は5000年も前からあるんですよ、自信を持ったほうがいいですよ」と言われたのであった。

 たしかに本と敵対するように捉えられているネットを見ると、移り変わりがあまりに激しく、一時期盛り上がっていたミクシィはすにで過去の遺産になりつつあり、今はツイッターが注目を集めているようだ。それらに頻繁に対応しているうちにユーザーである我々は疲れ果て、いつかそこに変わらずにあり続ける<本>に戻ってくるのではなかろうか。

 なんて総武線に乗りながら考えていたのであるが、私の前に座っている3人は本を読んでいるのだが、すべて図書館で貸し出された本であった。

 買おうぜ、みんな。
 買わないと好きな作家の本、出なくなっちゃうよ。

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