« 前のページ | 次のページ »

9月10日(木)

 朝起きた瞬間、突然「このままじゃいけない!」とお告げがあった。

 もしかしたら昨夜の味噌汁に妻が勝間和代の爪の垢を煎じていれたのかもしれないと思ったが、寝起きの妻に聞いてみると「かつまかづよ? 誰それ。小林カツ代なら知ってるけどね」と言い放ったので、そうじゃないらしい。最近のダラけた仕事ぶりに、自分自身が嫌になったようだ。

 本を作ろうが、私の根幹は、どこまでいっても営業である。しかしどうしたって時間的にという言い訳のもと、訪問件数が知らず知らずのうちに減ってきているのだ。これではいかん! 今の私があるのは、約十年前ぐらいから何年もがむしゃらに書店さんを廻ってきたからに他ならない。ということはここでサボっていては十年後の私はないわけだ、と布団のなかでいきり立つ。

 これも朝立ちというのだろうか。
 しかし勢いは利用するに限る。

 というわけで、足が棒になるまで横浜方面を営業。久しぶりのお店や初訪問のお店にガシガシ飛び込む。そういうときに大切なのは、心を平静にすることだ。いや心を消し去ることである。無心。そうでないと、書店の前で怖じ気づいてしまい、足がすくんで動けなくなってしまうのだ。

 私の後頭部にひそむ約35人のサポーターが、声をあげて叱咤激励を飛ばすのである。

「まわれ!」
「走れ!」
「行け!」

 その声に後押しされるように、次から次へとお店に飛び込む。

 といっても書店さんはそんなに怖いところではなく、担当者が変わっていたお店では「日記読んでいますよ!」とか「いつもDM楽しみにしているんです」なんて暖かい言葉をかけていただき、新たな出会いがとても楽しい。

 これはやっぱりきちんと訪問しないといけないですよ! と自分の心に刻み込む横浜、夜6時であった。

« 前のページ | 次のページ »