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10月9日(金)

時は過ぎゆく (岩波文庫)
『時は過ぎゆく (岩波文庫)』
田山 花袋
岩波書店
821円(税込)
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 通勤読書は、『時は過ぎゆく』田山花袋(岩波文庫)。

 古今東西、人がどのように暮らしてきたか?ということに私は大変興味があり、そういう意味でいうとこの『時は過ぎゆく』は明治維新前後に、田舎から主人に従って東京に出てきた良太という人間の一生を描いたものであり、当時の人間がどのように生きてきたか手に取るようにわかり、大変面白い一冊だった。

 どんな時代も親は子を想い、しかし子は想うように育たず、家族は嫁や姑と悶着を起こし、また銀行の破産などで金を失い、人生に不安を感じながら生きているのだ。せつない。

 紀伊國屋書店新宿本店を訪問すると、2階の雑誌売場と文庫売場の間の棚で、河出書房新社の「文藝別冊」バックナンバーフェアが開催されていたのだが、その関連図書も一緒に並べられており、小冊子も配布されている素敵なフェアだった。

 が、その関連図書のなかに1冊、まだ「文藝」で取り上げられていない作家・作品が混じっていてそれはいつか取り上げて欲しいという願いからなのだそうだが、その1冊がどれなのかわからず、ついじーっと見つめてしまう。いろんな意味で面白い試みだが、結局待ち合わせの時間が来てもわからずじまい。残念。

 昼飯を私がもっとも尊敬する営業マンC社のAさんと食べる。
 Aさんはもう還暦を過ぎているのだが、日夜書店廻りを続けており、しかも一切威張ることもなく、淡々と営業活動をしているのだ。

 たいていの出版社は出世すればデスクワークや人材育成が主な仕事になるだろうが、Aさんは40年以上に渡って、書店の現場を歩き続けている。「すごいですね」と言えば、きっとAさんは「出世しなかっただけなのよ」と笑うだろうが、そんなことはないであろう。そういう辞令が降りたら断ること間違いなしの人なのだ。まさに私の目標の人である。

 昼食後は、小田急線に乗って成城学園を営業。店長のUさんを訪問すると、3連休で雑誌が大変なことになっているんですよ、とまさしく雑誌の山から声が聞こえてくる。

 夜は、鮎川哲也賞受賞パーティー。
 『午前零時のサンドリヨン』相沢沙呼さんが、受賞スピーチの代わりに手品を披露したのには、驚いた。本屋大賞でも誰か何かやってくれないか。

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