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11月11日(水)

放っておいても明日は来る― 就職しないで生きる9つの方法
『放っておいても明日は来る― 就職しないで生きる9つの方法』
高野 秀行,二村 聡,下関 崇子,井手 裕一,金澤 聖太,モモコモーション,黒田 信一,野々山 富雄,姜 炳赫
本の雑誌社
1,512円(税込)
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 夜、『放っておいても明日は来る』の見本が出来上がってくる。

 これが2009年の私が企画・編集した本の最後の一冊なので、今年一年に作った本を一同に並べ平積みしてみた。

『尾道坂道書店事件簿』児玉憲宗
『SF本の雑誌』
『今夜もイエーイ』大竹聡
『スットコランド日記』宮田珠己
『放っておいても明日は来る』高野秀行

 営業をやりながら、年5冊は立派なのではなかろうか。

 以前であればひとり営業部自問自答会議を毎晩開催し、ぼやきの部長とまじっすか平社員の脳内会議をしていたのであるが、今は編集者と営業マンのひとり出版部会議を繰り広げている。

 営業マンである私が、編集者に求めるのはただひとつ。その本を出したい意気込みである。その意気込みを書店さんに売り込むのが営業だと思っている。私たち営業が売っているのは本ではなく編集者のプライドなのだ。

 だから作り手が変にマーケティングした本なんて売りたくないし、売れるわけがないのである。マーケティングする、すなわちそれは類書があるということで、それは類書の8掛けは売れるかもしれないが、所詮2匹目3匹目のドジョウであり、再生産なのである。

 そんなことをしている暇があったら、自分が狂っちゃうほど好きな本を作ればいいのである。誰かひとりが狂うなら、他の人も一緒に狂うかもしれない。もし狂わずに独りよがりで終わったら、しばらく旅に出ればいいのだ。十年経ったら時代が追いつくかもしれないし、それでも時代が来なかったら足を洗って違う仕事につけばいい。

 ......と偉そうに言っていれば良かったのであるが、今はその言葉が自分へも突きささってくるのである。

「この本作りたいの?」

 今年作った本も、今まで作った本も、来年作る本も私は大きな声で「イエス!」と答えるだろう。作りたい本を作る。それをいっぱい売る。それが本の雑誌ひとり出版部の目的だ。

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