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11月21日(土)炎のサッカー日誌

「ウオーーーーー」

 まるで漫画の吹き出しのような雄叫びを実際にあげたのは、昨年末出版サッカーバカ飲み会で出会ったレッズサポ、大宮L書店のNさんである。いつもひとりで見ていると聞いたので、だったら一緒に見ませんかと誘い、今年から我がレッズバカランドに仲間入りしたのであった。

 そのNさんが、絶叫したのにはもちろん理由があって、後半ロスタイム、それも残り3秒くらいのところで、浦和レッズFW・エジミウソンが放ったミドルシュートが、ジュビロ磐田のゴールネットを揺らし、大逆転勝利が決まったからだ。

 その日の試合は前半を1対0で折り返したものの、後半立て続けに失点し、1対2となっていた。そこから始まった我が浦和レッズの大反撃。エジミウソンが、その日2点目のゴールを82分に決めると、スタジアム全体が狂ったようにチームを後押しし出した。みんなの気持ちはただひとつ。あきらめないこと=ブライド・オブ・浦和。

 そして最後の最後に掴んだ勝利。

 私は、N氏と抱き合ったが、その瞬間また別の人が押し寄せてきて、もはや自己と他者も、精神と肉体の区別もつかない、まさにWe are Reds。

「あー泣きそう」

 みんなが自分に戻ったときNさんはそう呟いたが、私の足下のコンクリートは、まるで雨の降り始めのように、灰色の小さなシミが出来ていた。

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「これがあるからやめられないのよ」
 先日、中学校時代からの親友を亡くし「私もいつ死ぬかわからない」と落ち込んでいた69歳の母親が、約一ヶ月振りの笑顔になる。

 おそらくこの日、J1昇格をぐっと引き寄せた湘南サポも、前節まで1位だった川崎フロンターレを破った大分サポも、待望の勝利をあげたジェフ千葉サポもみんなそう思っているだろうし、海外ではアーセナルに勝利したサンダーランドのサポータも同じ想いでスタジアムを後にしただろう。

「これがあるからやめられないのよ」

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