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11月26日(木)

 事務の浜田は書店さんから注文の電話があるたび「どうしてですか?」と聞いている。それは売れたからか、売れると思うからか、売りたいからか、いまそこでお客さんが欲しがっているかどれかなのに、彼女は人間不信というか出版不信に陥っており、注文があることが信じられないらしい。

 しかし「本の雑誌」12月号の注文がやたら多いのはよくわからない。本日も京都のJ書店さんから売り切れちゃったので追加しますと電話注文があったのだが、いったいなぜ? 実際のところ売れてる理由は、出版社にもよくわからないのである。

 午後から営業。
 昨日、今日と新刊ラッシュで、声をかけようとする書店員さんの前にある台車の上には本の山。何軒かのお店では在庫だけチェックし、声もかけずにお店を後にしたが、秋葉原のS書店さんではライトノベルとコミックの事情を事細かにうかがう。文芸書もマスではなく、マニアを狙う(育てる)必要があるのではないか。

 夜は、平井の名居酒屋、豊田屋で酒。
 昨年末、我が師匠であるY書店のMさんとこのお店のアンコウ鍋を肴に忘年会をしたのだが、そのボリュームと安さと美味さに驚き、相棒とおるに写メールを送ったのであるが、そのことを一年経った今もとおるは覚えており、寒さが厳しくなってきた先週、連れて行け!とメールしてきたのであった。

 6時半にお店のドアを開けるが、店内は満席で、とおるは泣き出してしまったのであるが、あまりに不憫の思ったのであろう店主が、空いたら電話しますよと、駅前のドトールで待つこと一時間。山口瞳流に言うならば「豊田屋のアンコウ鍋を食わなきゃ冬が来ない」と言ったところか。

 二人で飲んで食って4500円! 割り勘で払おうとしたら「一年間いっぱい本を借りたお礼」ととおるが払ってくれた。ありがたや。

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