1月12日(火)
- 『本の雑誌 320号』
- 本の雑誌編集部
- 本の雑誌社
- 700円(税込)
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私が部活好きだと思われたのか、出版前の仮綴本が届いた。
第22回小説すばる新人賞受賞作『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ(集英社・2月5日発売)。
しかし実は私、部活が心底嫌いなのである。なぜなら中学校のサッカー部で、長ランにウルトラドカンを履いたパンチパーマの先輩達と命がけの2年間を過ごし、また顧問という名の頭のイカレタ先生と日々熱いバトルを繰り返した結果、身も心もボロボロになってしまったのだ。だからこそ好きだったサッカーともおさらばし、高校では部活に入らず、学校にも行かず、麻雀とパチンコに明け暮れていたのである。
だから「騙されたと思って読んでください」と言われても、騙されない覚悟で読み始めたのであるが、あっという間に物語の高校生たちの生活に引き込まれてしまった。そうだよな、そうだよな、どんな部活に入っていようが、入っていまいが、毎日こうやって悩むんだよなと埼京線のなかで涙したのであった。
野球部、バレー部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部のそれぞれの子たちをオムニバス形式に追う連作なのであるが、誰ひとりとしてスーパーな高校生が出てくるわけではない。ただしここで描かれているのは等身大の高校生の暮らしであり、そしてそれは今、38歳の私と何ら変わらないのであった。
★ ★ ★
本年最初の「本の雑誌」2010年2月号が搬入となる。
吐く息が真っ白になるなか、雨に濡れないよう抱え込んで社内に運び込む。
この2月号は、船戸与一や志水辰夫の作家デビューのきっかけを作った名編集者・白川充氏のインタビューから超マニアによるプロレス本座談会、そして特集の読書手帳といろんな切り口から本の面白さを伝えられる自信作です。ぜひ。
★ ★ ★
営業は中央線の立川、国立。
配本の少なすぎる文庫に怒る書店員さんや逆に配本が多すぎる単行本にあきれ果てている書店員さんと話す。
その後、山口瞳さんのエッセイのなかでもよく出てくる国立の増田書店さんを訪問。Y店長さんから「最近『本の雑誌』は完売が続いているよ」と嬉しい言葉をかけられる。「子どもはいっぱい本を読んでいるみたいだから、これからは大人に本は楽しいんだってどんどん伝えていかなきゃ」。ここにもひとり、本の力をしっかり信じている人がいた。
★ ★ ★
その国立出身の「酒とつまみ」編集長・大竹聡さんから電話が入る。大竹さんは昨年12月、γ-GTPが1000を超える(通常値75ぐらい)という快挙(暴挙)を達成し、怒り狂った医者から「あんたこのままだと死ぬよ」と1ヶ月の禁酒宣告をされたのであった。
おそらく自分でも酒抜いたらどうなるか試したかったのだと思うが、大竹さんは医者の言いつけを守り、この1ヶ月間ノンアルコールビールやジンリッキーのジン抜きなどを酒場で大人しく飲んでいたのである。しかし態度は酒を飲んでいる時とまったく変わらず、それを隣で見ていた浜田は「アンタたちに酒に必要はないね」と断言したのであった。
禁酒から1ヶ月過ぎた本日、再検査をしたところ、γ-GTPは200まで下がったそうで、これで肝硬変の疑いは晴れたそうだ。
「飲もー。飲もー」
大竹さんの牛のような声が電話の向こうから聞こえてきた。
第22回小説すばる新人賞受賞作『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ(集英社・2月5日発売)。
しかし実は私、部活が心底嫌いなのである。なぜなら中学校のサッカー部で、長ランにウルトラドカンを履いたパンチパーマの先輩達と命がけの2年間を過ごし、また顧問という名の頭のイカレタ先生と日々熱いバトルを繰り返した結果、身も心もボロボロになってしまったのだ。だからこそ好きだったサッカーともおさらばし、高校では部活に入らず、学校にも行かず、麻雀とパチンコに明け暮れていたのである。
だから「騙されたと思って読んでください」と言われても、騙されない覚悟で読み始めたのであるが、あっという間に物語の高校生たちの生活に引き込まれてしまった。そうだよな、そうだよな、どんな部活に入っていようが、入っていまいが、毎日こうやって悩むんだよなと埼京線のなかで涙したのであった。
野球部、バレー部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部のそれぞれの子たちをオムニバス形式に追う連作なのであるが、誰ひとりとしてスーパーな高校生が出てくるわけではない。ただしここで描かれているのは等身大の高校生の暮らしであり、そしてそれは今、38歳の私と何ら変わらないのであった。
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本年最初の「本の雑誌」2010年2月号が搬入となる。
吐く息が真っ白になるなか、雨に濡れないよう抱え込んで社内に運び込む。
この2月号は、船戸与一や志水辰夫の作家デビューのきっかけを作った名編集者・白川充氏のインタビューから超マニアによるプロレス本座談会、そして特集の読書手帳といろんな切り口から本の面白さを伝えられる自信作です。ぜひ。
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営業は中央線の立川、国立。
配本の少なすぎる文庫に怒る書店員さんや逆に配本が多すぎる単行本にあきれ果てている書店員さんと話す。
その後、山口瞳さんのエッセイのなかでもよく出てくる国立の増田書店さんを訪問。Y店長さんから「最近『本の雑誌』は完売が続いているよ」と嬉しい言葉をかけられる。「子どもはいっぱい本を読んでいるみたいだから、これからは大人に本は楽しいんだってどんどん伝えていかなきゃ」。ここにもひとり、本の力をしっかり信じている人がいた。
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その国立出身の「酒とつまみ」編集長・大竹聡さんから電話が入る。大竹さんは昨年12月、γ-GTPが1000を超える(通常値75ぐらい)という快挙(暴挙)を達成し、怒り狂った医者から「あんたこのままだと死ぬよ」と1ヶ月の禁酒宣告をされたのであった。
おそらく自分でも酒抜いたらどうなるか試したかったのだと思うが、大竹さんは医者の言いつけを守り、この1ヶ月間ノンアルコールビールやジンリッキーのジン抜きなどを酒場で大人しく飲んでいたのである。しかし態度は酒を飲んでいる時とまったく変わらず、それを隣で見ていた浜田は「アンタたちに酒に必要はないね」と断言したのであった。
禁酒から1ヶ月過ぎた本日、再検査をしたところ、γ-GTPは200まで下がったそうで、これで肝硬変の疑いは晴れたそうだ。
「飲もー。飲もー」
大竹さんの牛のような声が電話の向こうから聞こえてきた。