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2月17日(水)

 上大岡のY書店を訪問すると、まるでバブル期の書店さんのように混雑していた。思わず目をこすって夢なのではないかと思ったがそんなことはなく、店長のHさんに伺うと「おかげさまで」と笑顔で話される。お店を一巡してみると、確かにお客さんの必要とする本がしっかり積まれている印象を受ける。信頼関係なんだろう。

 その後、いくつかの書店さんでいわれたのは、「文芸書(単行本の小説)の棚を減らそうと思っているんです」とのことであった。この10年で、すでにずいぶんと棚を減っているはずなのだが、売り上げから考慮するといっそう減らされる傾向にあるらしい。「すぐ文庫になりますからね」確かにそのとおりだ。

 その代わりに増える方向にあるのは実用書やエッセイなど女性向きの本だ。今ならダイエット、美しくなる、幸せになる、など。そういうものには1500円でも2000円でも出し惜しみしないとか。とある書店員さんは「お金を使ったらすぐ役立つように感じるものなら買うんじゃないですか」と分析する。

 夜遅くもっとも尊敬する書店員さんのお店を訪問する。

「ここ数年、いや本屋が金太郎飴といわれるようになってからずーっと個性のある本屋を目指してきたけど、この何年もの間で一番売れているのが、今やっている東野圭吾全点フェアなんだよね。自分が売りたいもの、じゃなくてお客さんが買いたいものをしっかり並べるのが大事なんだよね。勉強になったよ」

 個性も大事だが、やはりバランスが大切だということらしい。

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