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2月19日(金)

居酒屋百名山
『居酒屋百名山』
太田 和彦
新潮社
1,620円(税込)
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メグル
『メグル』
乾 ルカ
東京創元社
1,728円(税込)
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 本を見た瞬間に羨ましく思う本がときにある。こういう本が作りたい、こういう本を営業したい。その本の企画、内容はもちろん、たたずまい、活字の組み方すべてから発せられる本の気とでもいうのだろうか、そういうものが手に持ったときに伝わってくるのだ。名作というのは内容に与えられる賞賛の言葉ではなく、本自体に贈られる言葉だ。

『居酒屋百名山』太田和彦(新潮社)は、まさにそんな本だ。趣味が高じて作られた「居酒屋研究会」から20年。こちらも名作の『ニッポン居酒屋放浪記』(新潮社)などで日本中の居酒屋をくまなく飲み歩き、ついにここにたどり着いたのである。ひとつのことをやり続けた人間だけが出すことができる決定版の本だ。

 北から南まで、全国百軒の居酒屋が愛情こもった文章で綴られる。そうなのだ。この本には太田和彦さんの居酒屋への愛が詰まっているのだ。かつての『ニッポン居酒屋放浪記』では、酒や肴の紹介が主であったが、今作ではお店そのものを伝える文章が並ぶ。店主の人柄、地元での愛され方はもちろん、建物、内装、酒器、燗付け器にいたるまで丁寧に描写される。もしこの世に「居酒屋」がなくなったとしてもこの本があれば再現することができるだろう。そういう意味では一級の資料価値のある本でもある。

 1軒に対して原稿用紙7枚ぐらいの文章だが、ガイドブックの文章なんかとは比較にならない。大阪の明治屋、ながほり、長崎の安楽子などは涙なしには読めない。行間から伝わる想いが素晴らしいのだ。そして何よりも、お店というものの、原点を知ることができる。紹介されている老舗の居酒屋のように、何十年も愛される続ける本になるだろう。

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 田町から恵比寿を営業。

 田町のA書店さんで、平井和正の話題で盛り上がる。私たちが高校生の頃、夢枕獏など教室で貸し借りされていたっけ。「緑色の背表紙の平井和正の作品を復活してほしい」とS店長さんは話す。

 恵比寿のY書店さんは入り口の壁棚がすべて『人間失格』の文庫本になっていて壮観であった。映画の宣伝か?

 小説大好きの担当者Kさんに「面白い本ありますか?」と伺うともうすぐ発売になる乾ルカの新作『メグル』(東京創元社)が素晴らしいとのこと。

「杉江さんのおすすめは?」と訊かれたので、「アンギャマン!」と答える。

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 夜、銀座の教文館のYさんと食事。
 教文館では3月19日に椎名さんのトーク&サイン会を開催。

開催日時 3月19日(金)18時30分開始(17時30分開場)
会場 教文館9階ホール 入場料 1000円(税込)
教文館にて店頭・電話ご予約受付中。
教文館
〒104-0061 東京都中央区銀座4ー5ー1
電話:03-3561-8447

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