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3月24日(水)

 我々営業マンですら、年度末の駆け込み新刊洪水で大わらわの書店員さんに声もかけられずお店を後にすることが多いのであるが、そんなときに店頭を訪問している作家さんがいて驚く。それはたとえどんな人気作家だったとしても迷惑なのではなかろうか。案の定、作家さんが帰った後に書店員さんは深いため息とともに荷物の山を見つめていた。どうして編集者や営業マンは止めてあげないのだろうか。

 それにしても作家さんが書店を廻ると本が売れるのか?
 もしそうならば、私の『「本の雑誌」炎の営業日誌』(無明舎出版)は大ベストセラーになって良い。

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 夜、もっとも私が尊敬している営業の大先輩であり、人間としても目指すべき人柄を持つY書店の外商マンNさんと酒。

 そのNさんから「形見分けだよ」とプレゼントされたのは、いつぞやこの日記で欲しいと書いた『高丘親王航海記』渋澤龍彦(文藝春秋)の、単行本版であった。私がいつだかこの日記で欲しいと書いたのを読まれていて、わざわざ蔵書を探して持ってきてくれたらしい。箱入りのむちゃくちゃかっこいい本であった。ありがたや。でも死んではいけません、Nさん。

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