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5月13日(木)

火群(ほむら)のごとく
『火群(ほむら)のごとく』
あさの あつこ
文藝春秋
1,620円(税込)
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弥勒の月 (光文社時代小説文庫)
『弥勒の月 (光文社時代小説文庫)』
あさの あつこ
光文社
617円(税込)
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蝉しぐれ (文春文庫)
『蝉しぐれ (文春文庫)』
藤沢 周平
文藝春秋
720円(税込)
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『バッテリー』のあさのあつこがとんでもない小説を書いてしまった。

あまりの面白さに電車をわざと乗り過ごし、読み終えるまで乗り続けてしまったほどだ。その傑作小説の名は、『火群のごとく』(文藝春秋)

 6万石の小藩・小舞藩を舞台にした時代小説なのだが、私は『バッテリー』以降のあさの作品で、一番気に入っていたのが『弥勒の月』(光文社文庫)を始めとした時代小説のシリーズだったのだ。あさのあつこには時代小説が似合う。いつかもっとすごいものを書くはずだと読み続けていたのだが、ついにそのときが来た。

 時代小説だから......と敬遠してしまう『バッテリー』読者がいるかもしれないが安心して欲しい。ここで描かれるのは『バッテリー』同様、あさのあつこがもっとも得意とする少年たちの心の動きだ。まだ非力で、何も成し得ていない、しかしだからこそ、どこまでも澄んだ心を持った少年たちが大人や社会と対峙するその瞬間を、ページをめくる指が震えるほどの緊張感をはらんだ文体で描いている。

 そして『火群のごとく』は藤沢周平の名作『蝉しぐれ』の系譜をきっちり継いだ時代青春小説の傑作でもある。2010年のベスト1小説はこれで決まりか。

★   ★    ★

 成城の三省堂書店さんから『本屋大賞2010』の追加注文が届いたので、直納。本屋大賞実行委員でもあるU店長さんと昼食をとりながら情報交換。

 松戸の良文堂さんで行われていたガチンコ対決フェアで一番売れたのが『音脳法』七田眞監修 山岡尚樹著(シンコーミュージック)と『ネコを長生きさせる50の秘訣』加藤由子(ソフトバンククリエイティブ)だったんですよ、なんて話をすると「小説はすぐ話題になるけど、実用書とかはどうしても売り逃しちゃうんですよね」とU店長さんはメモを取っていた。

 そうなのである。営業マンは番線(注文の証拠のようなもの)を取るのが大切とよく語られるが、私は決してそう思っておらず、このように書店さんに有益な情報を伝えられることこそが大事なのだと考えている。会社がどう思っているかは知らないが、どれだけ書店員さんのメモに痕跡を残せるか、そのために様々なところを歩いて情報収集しなければならない。

 すなわち営業とは情報収集であり、その分析家でもあるのだ。
 ほんとかな?

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