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7月15日(木)

 営業に出かけようとしたら、事務の浜田から「どっち方面に行きますか?」と訊ねられる。
 そうは聞かれても風のむくまま気の向く方へ、売上の匂いに誘われて歩くのが、私の営業スタイルだから答えるわけにはいかないのだ。

 無視して出かけようとすると、「今日、市ヶ谷の地方小出版流通センターさんに伝票の切り替えにいかないと今月の売上にならないんですよねぇ。でも試験中で助っ人アルバイトが一人もおらず。ああ、アラフォー寸前の女子をこのカンカン照りで日焼け必至のに外に出ろってことですかねぇ。パワハラパワハラ......」と140字を超えてつぶやかれる。

 けっ、日焼けサロンのマシーンが、壊れるほどの厚顔のくせしやがって......。

 そして30分後、私は市ヶ谷の急な坂を汗を垂らしながら登っているのであった。
 偉くなりたいと腹の底から思った夏の午後。

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