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7月21日(水)

活字と自活
『活字と自活』
荻原 魚雷
本の雑誌社
1,728円(税込)
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 35度を超える殺人的な爆暑あるいは暴暑のなか、いつも通り営業に出かける。もちろんそうやって仕事をしているのは私だけでなく、どこの出版社の営業マンも同じ様に、まるでエベレストの頂上アタックをするような息も絶え絶えな様子で本屋さんを廻っていた。

 出版営業というのは「そこに本があって当然」と思われている仕事であって、だから会社の上役や編集者、そして著者からも不平を言われることはあっても感謝されることはほとんどない。

 本当は年間8万点以上あると言われる新刊のなかで、その本が、大手書店の平台や町の本屋さんの棚にささっているだけでも十分評価に値する、というかその陰で、こうやって猛烈な暑さのなか営業マンが歩いているのである。

 ただしそれが苦労なのかと言われるとよくわからない。

 私の場合はかなり楽しんでいるというか、例えば本日は小田急線を営業したのであるが、本厚木のY書店では担当者さんがお休みで残念無念だったのだが、海老名のS書店では久しぶりの訪問になってしまったにも関わらずMさんから笑顔で迎えられ感動を覚え、そして長いつき合いである町田のY書店Sさんとは1時間ちかく話し込んでしまった。

 自分の仕事の特異性みたいなものは、自分自身ではわからないのだが、今朝、水筒を渡す妻から毎日会社から出て行くの面倒くさくないの? と不思議がられたが、私は逆に一日会社にいるほうが気持ち悪いし、こうやっていろんな人に会うことがつらいことだと考えたこともない。

 それはどこで人の縁がつながり、深まっていくかわからないからだ。例えば本日名刺交換させていただいたL書店Sさんと今後どのように仕事をしていくことになるのか予想もつかないのだが、例えば今深く付きあわせていただいている書店員さんたちとの最初の一歩もすべてこのようなぎこちない名刺交換から始まっているのだ。

 そして何よりも本が売れたときの喜びは何ものにも代えがたい。「杉江さん売れているよ!注文、注文」の言葉以上に私の胸を熱くするのは、浦和レッズの勝利ぐらいである。

 先週発売した新刊荻原魚雷『活字と自活』が、東京堂書店の売れ行きベスト1に輝く。こういう本が強いお店だけれど、それにしても1位はすごい。

 担当編集の宮里をみんなでワッショイワッショイ胴上げし、浜田の先導で、ビールがあけられる。旨い!

 ただしやっぱりもうちょっと涼しいほうがいいと思う。せめてあと5度、日本の温度をリモコンで下げて欲しい。風量「強」でお願いします。

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