8月5日(木)
- 『活字と自活』
- 荻原 魚雷
- 本の雑誌社
- 1,728円(税込)
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そういえば今週は発行人の浜本が夏休みで不在なのだった。
だから会社は静かで、6時を過ぎると事務の浜田が給湯室にこもり、何だか「プシュ」「プハー」という音を立てているのであった。飲んだら吐くな、吐くなら飲むな。いや、飲んでも働け、働きながら飲めか。
営業から会社に戻ると、単行本編集の宮里が私の顔をチロチロと見る。
ここ数日毎日そうやって見つめてくるのだが、そろそろ愛の告白をされるのだろうか。
いや違った。宮里が私の顔を見るのには理由があって、それは彼が作った『活字と自活』荻原魚雷著が、品切れになってしまったからだ。
世の中の商品は品切れになれば当然増産体制に入り、どんどん作るだろうが、そこは返品制度のある出版業界である。たとえ出版社の倉庫から本がなくなろうと店頭には在庫があるわけで、今現在書店さんの在庫である本が、一度返品箱に入れられたら出版社の在庫になってしまうのだ。
だから品切れはうれしい反面、私のように営業を受け持つ人間には厳しい判断を求められるものでもある。基本的には毎日廻っている書店さんの状況と、電話注文やその他の注文の内容、何よりも一番大事なのはその本そのもののが持つパフォーマンスを考え、あとは屋上に登って靴を投げ判断を仰ぐのであった。
おお、上を向いたから、増刷だ!
いやいや、この『活字と自活』は、当然もっと読まれるべき本だろう......というわけで、重版を決定したのであった。めでたしめでたし。
※「炎の営業日誌」10周年まであと19日
だから会社は静かで、6時を過ぎると事務の浜田が給湯室にこもり、何だか「プシュ」「プハー」という音を立てているのであった。飲んだら吐くな、吐くなら飲むな。いや、飲んでも働け、働きながら飲めか。
営業から会社に戻ると、単行本編集の宮里が私の顔をチロチロと見る。
ここ数日毎日そうやって見つめてくるのだが、そろそろ愛の告白をされるのだろうか。
いや違った。宮里が私の顔を見るのには理由があって、それは彼が作った『活字と自活』荻原魚雷著が、品切れになってしまったからだ。
世の中の商品は品切れになれば当然増産体制に入り、どんどん作るだろうが、そこは返品制度のある出版業界である。たとえ出版社の倉庫から本がなくなろうと店頭には在庫があるわけで、今現在書店さんの在庫である本が、一度返品箱に入れられたら出版社の在庫になってしまうのだ。
だから品切れはうれしい反面、私のように営業を受け持つ人間には厳しい判断を求められるものでもある。基本的には毎日廻っている書店さんの状況と、電話注文やその他の注文の内容、何よりも一番大事なのはその本そのもののが持つパフォーマンスを考え、あとは屋上に登って靴を投げ判断を仰ぐのであった。
おお、上を向いたから、増刷だ!
いやいや、この『活字と自活』は、当然もっと読まれるべき本だろう......というわけで、重版を決定したのであった。めでたしめでたし。
※「炎の営業日誌」10周年まであと19日