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9月6日(月)

 横溝青年から郵便物が送られてくる。
 中身を確認すると明日のヤクルト戦のチケットであり、今回は「雨天予備券」の文字もなく間違いないようだ。良かった良かったと財布にしまおうとすると、事務の浜田が覗き込んでくる。

「杉江さん、それは明日の券ですか?」
「そうそう、横溝がおくってくれたの」
「杉江さんと横溝くんは確かに仲が良かったと想いますけど、私も横溝くんの面倒を結構見たと思うんですよ」
「そうだね。あの頃助っ人学生がいっぱいいて大変だったもんね」
「だったらそのチケット私が貰ってもいいんじゃないですか?」
「へ?」
「私、ヤクルトファンなんです」
「えっ? 確か桑田が好きで巨人ファンじゃなかった? 浜本さんと一緒で」
「巨人ですか? もう忘れました。いろいろあって、今はヤクルトなんです! ファンクラブにも入っているし、つば九郎だって大好きなんです。しかもバックネット裏なんて!!」

 そう言って浜田は、財布に入れようとする寸前のチケットを引っ張るのであった。
「やめなさいって。切れちゃうでしょう」
「ウガガガガ!! ガルー」

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