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9月10日(金)

チベットのラッパ犬
『チベットのラッパ犬』
椎名 誠
文藝春秋
1,697円(税込)
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アド・バード (集英社文庫)
『アド・バード (集英社文庫)』
椎名 誠
集英社
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ひとつ目女
『ひとつ目女』
椎名 誠
文藝春秋
1,440円(税込)
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 椎名さんの渾身のSF作品『チベットのラッパ犬』(文藝春秋)読了。
 椎名さんといえば当然エッセイや紀行文、私小説作家として多くのファンを獲得しているのだが、『アド・バード』(集英社文庫)や『ひとつ目女』など、そのSF作品も独特な世界観を持っており、私を含め多くのファンがいるのである。

 サイン会に立ち会っていると「またSF書いてください!」とファンから声をかけられるシーンを何度も目撃しているし、それに対し椎名さんがうれしそうな顔をしつつも「SFは書くのには集中力がいるかなあ」と答えているのも何度も耳にしているのであった。SFとは椎名さんにとって一番大好きなジャンルであるから、そこで作品を書くときには相当な覚悟がいるのだろう。

 そうして出版された最新SF作品『チベットのラッパ犬』は、著者本人が「状況設定としては他のSF作家には絶対書けない世界だろうと思う。おっ大きく出たな、と思う人はぜひ読んでくれええ。」と「本の雑誌」10月号で書いているほどの自信作であるのだが、まさに荒廃と猥雑と未知にあふれたシーナワールドが展開されており、読み終わったあとしばし呆然となるほどの世界観であった。

 あまりの興奮にこれは本人に伝えないといけないと思いつつ、夜、M書店Tさんを囲む会で新宿・池林房に向かうとそこで椎名さんがビールを飲んでいるではないか。

 「死ぬまでSFを書き続けてください!」

 突然そんなことを言われて困惑する椎名さんだったが、私は気持ちを伝えられて満足なのであった。

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