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1月25日(火)

 いよいよ、2011年本屋大賞ノミネート作品の発表の日である。
 なんだかんだ言いつつ8回目となり、もはや私がなぜこんなに本屋大賞、本屋大賞と書いているのかもわからない人がほとんどだが、それはそれでいいのだ。

 そんななか古い手帳が出てきたので、ペラペラと見ていたら2003年のちょうど今頃、後に本屋大賞を作ることになるキッカケとなる飲み会のいくつかが開かれていたのだ。

 あのときみんなで酒を飲んで心底心配していたのは、本の未来だった。売れない、売れない、本がどんどん売れなくなっていく。

 底なし沼のような絶望の淵で、このままじゃいけないよと危機感を抱いた書店員さんたちがいたのだ。そして自分たちの手で何かしようと始めたのが本屋大賞だった。

 当時、投票してくれた書店員さんたちも同じ気持ちだったと思う。
 その気持ちを私は絶対忘れない。

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 夜、高野秀行さんの待望の旅もの『世にも奇妙なマラソン大会』の見本が届く。
 月に一度程度、高野さんとはどこかの喫茶店でコーヒーを飲みながら話を聞いているのだが、そのなかで「それ面白いから書いてくださいよ」とお願いした話が3つ収録されている。

 一つは表題作となっている「世にも奇妙なマラソン大会」で、こちらは高野さんの得意とするところの海外体当たりもの(しかし西サハラ情勢に関してはきちんとルポになっているのがすごい)、あと二つは誰がどう見ても怪しい状況なのに変なおじさんに付いて行って大変な目にある「ブルガリアの岩と薔薇」、目的のために手段を選ばず暴走する「名前変更物語」とまさに高野ワールド全開の作品集になっているのだ。ファンだけでなく、笑える本ないかなあと思っている方はぜひ。

 それとなんと今作では書きおろしで、世界の不思議な話「謎のペルシア商人──アジア・アフリカ奇譚集」を収録。高野さんのまわりで起きた説明しようのない「謎」な話は、読んだあとも不思議な余韻を残す。

 ちなみに私にとって、『辺境の旅はゾウにかぎる』『放っておいても明日は来る 就職しないで生きる9つの方法』以来、高野作品3作目の編集&営業作品。売れろ、いや売るぞ!

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