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3月1日(火)

からまる
『からまる』
千早 茜
角川書店(角川グループパブリッシング)
1,620円(税込)
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 何気なく読みだした千早茜の『からまる』(角川書店)が、あまりに面白く、すっかり寝ることを忘れ、読み終えた後も頭がしびれたようになり、眠ることができなかった。

 これは年間ベスト級の面白さだ。この筆致、この表現力、そして人が生きていくということをきちんと捉える目線。恐ろしい作家がいたものだ。

 千早茜といえば、2008年に小説すばる新人賞を受賞した『魚神』でデビューし、同作品で泉鏡花文学賞も受賞していたのであるが、その装丁は気になったものの、読んでいなかった私はなんて馬鹿者なんだろうか。

 早速、本日営業中に購入したのであるが、こちらはこちらで幻想的な作品なようで、『からまる』の自分を守るために、薄い膜のなかに閉じこもった人々を描いた現代連作短編小説とは違うようだが、それにしたってこの作家はどうみても、角田光代や山本文緒、そして私の大好きな絲山秋子や昨年の本の雑誌のベスト1『ふがいない僕は空を見た』窪美澄(新潮社)のような、小説シーンを切り開いていく女性作家になること間違いなしだ。

 各章に出て来る生物や、それぞれがぶち当たる性の話などは、よほどの作家ではないと書けないだろうし、言葉の巧みさも素晴らしく、まさに小説家として生まれたような人だと思う。興奮で眠れないのも仕方ない。

★   ★   ★

 眠い目をこすって出社すると、前日締めきった本屋大賞2次投票がどどどと届いていて、朝からFAX投票分を機械のようになって打ち込みまくる。

 営業確変モード中なので、早く書店さんを廻りたいのだが、私が打ち込み終わらないと集計もできないので仕方ない。

 午後になって終了し、神保町などを営業。
 東京堂書店は、ふくろう店も含め、3月14日にリニューアルするそうで、果たしてどんなお店になるのか楽しみだ。チラシには「本店2階 日本文学著者別棚新設」や「本店3階 地方小「リトルプレス」コーナー拡充」などとうたわれており、期待が高まる。

 営業は確変中なのだが、担当者さんがお休みでお会いできなかったお店も多く、まあ、そんなに良いことばかりが続くわけない。

 しかも雨が降り出し、楽しみにしていたランニングもできないのであった。

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