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4月26日(火)

 小学校5年生になった娘は毎朝不機嫌だ。

 何を言っても返事をしないし、たまに口を開いたと思えば「超ウザ。バカじゃん」と猛禽類のような目をしてにらんでくる。面倒くさいから放っておくと、新聞を読んでいる私の背中にぴったり自分の背中をくっつけてきたりする。

 自分で自分をどう扱っていいのかわからないんだろう。

 背中が触れていることに気付かないふりをしながら、私は、5年後、10年後の娘の姿を想像している。しばらくすると遅れて起きてきた小学一年生の息子が、「がったーい」と叫んで、私に飛び付いてくる。

 すると娘は小さく舌打ちをして、自分の部屋へ着替えに行く。部屋から出てくるまでにかかる時間は、日に日に伸びている。

 娘が出てきた後、部屋を覗くとタンスから引っ張りだしたシャツやらスカートやらが、まるで絵の具のパレットのように散乱している。

 妻が見つける前に私はそれらを丁寧に畳んでタンスにしまう。

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