7月6日(水)
- 『寒灯』
- 西村 賢太
- 新潮社
- 1,404円(税込)
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- 『根津権現裏 (新潮文庫)』
- 藤澤 清造
- 新潮社
- 555円(税込)
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山ガールの(と呼ぶと奥歯を鳴らしながら怒る)事務の浜田が、「筋肉痛じゃないんですか?」と顔を合わすなり聞いてくる。
「筋肉痛? なんで?」
「いや山登りしたらなるかと」
ふふふ。山登りなんていったって所詮坂道を歩いているわけで、もはや三年近く週40キロ走っている私の筋肉にダメージを残すほどでもないのである。山ボーイの前に、私のことをアスリートと呼んでくれと鼻で笑っていると、「明日来ますよ、年だから」と負け惜しみを言って、給湯室に消えていった。
通勤読書は芥川賞受賞後第一作品集『寒灯』(新潮社)。西村賢太氏自身と思われる主人公・貫太とその彼女・秋恵のシリーズ最新作。この『寒灯』では、貫太と秋恵が同居をはじめるところから別離まで順を追って収録されているので、まるで一編の長編小説のようにも読める。
それにしても本来なら隠しておきたいような人間の負の感情や些細な気持ちのゆれを、これでもかというほど描く様はいっそう磨きがかかっており、そういったマイナスの感情を掛け算することによってプラスに転嫁させ、笑いを生む能力はもっともっと評価されてもいいのではないか。私は「腐泥の果実」で、ビフテキをとんかつにさせるやりとりに思わず吹き出し、腹を抱えて笑ってしまった。
西村賢太氏つながりでいうと「週刊文春」の坪内祐三さんの「文庫本を狙え!」で『根津権現裏』が取り上げられていた。事務の浜田が給湯室から顔を出し、「すごい良い書評ですよね」と興奮していた。
営業は柏方面へ。ホットスポットを特集した「AERA」が、文字通り飛ぶように売れているそうだ。胸が痛い。
「筋肉痛? なんで?」
「いや山登りしたらなるかと」
ふふふ。山登りなんていったって所詮坂道を歩いているわけで、もはや三年近く週40キロ走っている私の筋肉にダメージを残すほどでもないのである。山ボーイの前に、私のことをアスリートと呼んでくれと鼻で笑っていると、「明日来ますよ、年だから」と負け惜しみを言って、給湯室に消えていった。
通勤読書は芥川賞受賞後第一作品集『寒灯』(新潮社)。西村賢太氏自身と思われる主人公・貫太とその彼女・秋恵のシリーズ最新作。この『寒灯』では、貫太と秋恵が同居をはじめるところから別離まで順を追って収録されているので、まるで一編の長編小説のようにも読める。
それにしても本来なら隠しておきたいような人間の負の感情や些細な気持ちのゆれを、これでもかというほど描く様はいっそう磨きがかかっており、そういったマイナスの感情を掛け算することによってプラスに転嫁させ、笑いを生む能力はもっともっと評価されてもいいのではないか。私は「腐泥の果実」で、ビフテキをとんかつにさせるやりとりに思わず吹き出し、腹を抱えて笑ってしまった。
西村賢太氏つながりでいうと「週刊文春」の坪内祐三さんの「文庫本を狙え!」で『根津権現裏』が取り上げられていた。事務の浜田が給湯室から顔を出し、「すごい良い書評ですよね」と興奮していた。
営業は柏方面へ。ホットスポットを特集した「AERA」が、文字通り飛ぶように売れているそうだ。胸が痛い。