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8月8日(月)

耳をふさいで、歌を聴く
『耳をふさいで、歌を聴く』
加藤典洋
アルテスパブリッシング
2,376円(税込)
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 昨夜、地元の夏祭りに娘と息子を連れていった。
 夏祭りといっても出店は子ども会やソフトボールのお父さんたちがやっているだけで、小さな小さなお祭りである。

 そんなところでも小学校一年の息子には夢のテーマパークに映るようで、いざ連れていく間際に雨が降りだすと、肩を震わせて泣いているのであった。

 妻には止められたが、傘をさして出かける。祭ばやしの太鼓を叩く音が風に乗って運ばれてきて、先ほどまで泣いていた息子の瞳は、ちょうちんの灯りを受け輝いていた。

 会場に着くと、私は小遣いを渡し、小五の娘に息子を任せ、生ビールを買って、祭りの灯りの届かないところで飲んでいた。埼玉スタジアムが近いからとここに引っ越してからもうすぐ10年が経とうとしていた。顔見知りも増え、紙コップをぶつけて何度も乾杯を繰り返す。

 祭りが終わると、息子と娘は手にヨーヨーやら化学反応で発光するプラスチックの管やらスーパーボールを持って、私のところに戻ってきた。

 娘、私、息子という順番で、三人で手をつなぎ歩いて帰る。
「パパ、ありがとうね。お祭りに連れてきてくれて。僕、ものすごく楽しかったよ」
 手にしていたヨーヨーをポンポン音を立てながら突いている息子が、見上げるようにして私に声をかけた。
 
★   ★   ★

 人生最大の哀しみと怒りを抱えたまま出社し、猛烈な暑さのなか営業に出かける。青葉台のブックファーストやアカデミア港北店など。どちらのお店もこういうお店が家に帰る途中にあったらいいなあと思わされるお店だ。

『耳をふさいで、歌を聴く』加藤典洋(アルテスパブリッシング)。

 あの加藤典洋が、日本のポップス&ロック(奥田民生、スガシカオ、じゃがたら、フィッシュマンズ、忌野清志郎、桑田佳祐)の音楽、歌詞、発言からその本質を探る評論集。NHKで放映されている佐野元春の「THE SONGWRITERS」(これも本にして欲しい!)のようで、非常に刺激的な1冊だ。

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