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2月24日(金)

 朝、起きてこたつに潜り込んで本を読んでいると、寝ぼけ眼の小1の息子が、「パパちゃーん」と言いながら私の腹の上に横たわってくる。体重は25キロを越え、娘と違ってがっちりした息子の全体重を支えるのは苦しい。しかしまるで私の心臓の音を聞くかのように顔を埋め、寝息を立てだした息子を邪険にもできない。

 しばらくすると小5の娘も起きだし、私の上に息子が乗っているのを見ると小さく舌打ちし、仕方なく私に寄り添うように身体を寄せてきた。

 私は本を読むのを諦め、娘の頭の下に腕を伸ばした。日向に干した布団のような匂いのする息子の頭の匂いとさわやかなリンスの匂いのする娘の頭の匂いを交互に嗅ぎながら目をつぶる。

 昨日も一昨日も仕事はうまくいかなかった。おそらく今日だってうまくいかないだろうし、うまく行く日が来るのかもわからない。日頃の暮らしだって私には子どもたちに誇れるものなんて何ひとつない。それなのに子どもたちは私を慕い、頼ってくる。

 妻の「着替えなさい!」という声で二人は身体を動かし、私から離れた。それでも息子の重みが、しばらく私の身体の上に残っていた。

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