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5月1日(火)

 会社というのは普通どのようにスケジュールが発表されるのだろうか。小学校は年度初めに大まかな年間スケジュールが配布され、その後も毎月予定表が配られる。普通の会社もそのように配布物があるのだろうか。あるいは社長が館内放送を流し、今月の予定などを発表するのだろうか。

 カレンダーどおりに出社してみると、経理の小林しか会社にいなかった。どうしたのかと訊ねるとなんと本の雑誌社は九連休だというではないか。小林は決算の資料を作るために出社していたらしい。

 よくよく考えてみると毎年ゴールデンウィークはこのパターンで、私は会社の休みというものをまったく把握していないのだ。

 なぜなら私は一日の大半外におり、社内でその手の会話がされるときには、いないのである。

 私の想像では、朝から酒を飲むことを人生の第一目標にしている事務の浜田が「うちのゴールデンウィークはいつですか? えっ?! カレンダー通り? そんなわけないですよね。オセロだって挟めが色が変わるんですから、この5月1日と2日は、赤色になるんですよね!」と編集発行人の浜本に詰め寄ったのだろう。

 家にいても居場所のない浜本は、本当は会社に来たかっただろうし、浜本の奥さんも心底会社にいて欲しかっただろうが、事務の浜田の酒臭い息をプンプンとさせた、がぶり寄りに負けたのだ。

 ちなみに本の雑誌社には、休日出勤手当ても、代休制度もない。
 今日の出社は、ボランティアにあたるのだろう。

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