12月27日(金)
2013年、最後の通勤読書となった『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』清水潔(新潮社)は、子を持つ親にとって息を吸うのが困難になるほどのノンフィクションであったが、読んでいる間の熱気は、あの横山秀夫の大作『64』(文藝春秋)なみだった。
ところが、なかで描かれる警察(やその他の司法機関)は『64』とは真逆の態度で、犯人逮捕どころかひとつの過ちを認めることによっておこる保身ドミノのために、「殺人犯はそこにいる」状態を形成していく。
こんなことがあってもいいのか......この本を読んだ誰もがそう思うだろうが、実際に現在進行形で起きている問題であり、私はつい最近読んだやなせたかしの自伝『アンパンマンの遺書』(岩波現代文庫)のなかの一節を思い出した。
正義は或る日逆転する。
正義は信じがたい。
『家族喰い』小野一光(太田出版)とともに2013年を代表する事件ノンフィクション。
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18歳で八重洲ブックセンターで働き出し、それから約20数年の社会人人生のなかで、初めて勝ち越した気分で迎える仕事納め。これまで毎年、5勝10敗かよくて6勝9敗、満足感よりも課題ばかり浮かぶ年の瀬だったが、今年は奇跡の本屋大賞10周年に、『謎の独立国家ソマリランド』のベストセラー&講談社ノンフィクション賞受賞、そして『東方見便録』を読んで以来ずっと憧れ続けていた内澤旬子さんの本(『捨てる女』)を作ることができ(なんとこちらも発売一ヶ月で重版!)、おまけに自著(『サッカーデイズ』白水社刊)まで出るという、気持ち的には13勝2敗といったところで、書類などを整理した机の中を充足感が満たしている。
ただこれが単なる運だったのか、あるいは自らの実力なのかは来年の結果次第。大関昇進をかけた正念場の年がやってくる......というわけで午前中、社内に新部署を設立。今度はひとり部署でなく、そこらで掃除機をかけていた助っ人のシンゴとカヤノを部員に任命し、来年の目標と予算を伝える。
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2013年も大変お世話になりました。
来年も不撓不屈の精神で、おもしろい雑誌と書籍を作り、営業して参ります。
ありがとうございました。